種明かし1
ネロはパウと肩を組んで支え合い、足を引きずりながら神殿へと向かった。すぐ後にはハンニバルとツァガーンを背負って、カインとスーが続いた。
一行はとうとう神殿の前にたどり着いた。神殿の扉は開いていた。
そこからはまるでネロ達を迎えるかのように温かな光が漏れ出していた。
ついにここまでやって来たんだと、各々の胸に込み上げるものがあった。
しかし今は長く過酷な旅路を思い返して感慨にふけっている場合ではなかった。ネロ達は躊躇せずにすぐさま神殿の中へと入って行った。
神殿の内部は塔の先端まで続く吹き抜けになっていた。そこに梁が何本も渡されていて、内部から塔を支えていた。梁からは巨大なシャンデリアが太い鎖で吊るされている。
中心には黄土色の煉瓦で組まれ四角錐の祭壇があった。正確には、四角錐ではなく、頂点の部分が切り取られた台形の祭壇だが、全体を見ればそれはほぼ四角錐といって差し支えない形をしていた。
祭壇の正面には階段が設けられていて、そこを登って切り取られた頂点へと登れるようになっていた。
神殿の扉は祭壇の正面に位置しており、祭壇の上部に向かう階段に向かって真っ直ぐに道が敷かれていた。
扉と祭壇を結ぶ道の、ちょうど真ん中あたりには四本足で立つ木製の台の上に見慣れぬ物体が置かれていた。
ネロはそれが何かと思い、よく見ようと目を細めた。それは腕で抱えられるほどの大きさの赤い箱だった。箱の面のひとつが四角い硝子で出来ており、箱の上には細い金属で編まれた骨組みのようなものが飛び出していた。それはまるで蛾の触覚のような形だった。
そのときネロはそれが何であるかはっきり思い出した。
「あれはブラフマンの宝物庫で見たブラウンカンだ」
一行はブラウンカンの前までやって来た。すると突然ブラウンカンの硝子面に明かりが灯った。
「あっ……あっ……あ〜。聞こえるかね? ん?」
ブラウンカンからは聞き覚えのある声が聞こえてくるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます