第5話ダメ人間は自分からは自然には変われない②
京都から帰ってきたら、あの行動力はどこへ行ってしまったのか、今までの通りの引き籠り生活に戻った数日後、躁状態の反動で一気に鬱状態に突入した。
食事も薬も飲むことが出来ず、電気代の高騰で今シーズンエアコンを点けずにずっと電気毛布に包まって動けずにいたのも症状悪化の原因だろう。
予約してあった今月の定期診断を受けた時に、余程状態が悪かったのか即入院を手配され、必要な物を取に一度自宅に戻り、登山用のリュックザックに着替えや電気毛布、目についた書籍数冊を詰めるだけ詰めて病院に戻った。
子供の時にトラックに撥ねられて以来の入院に、不安とすこしのワクワクを感じた。
残念なことにその事故では異世界には行けなかったが、別の投稿サイトでは行けた世界線の話が掛かれているかもしれないが今の所読んだ記憶が無い。
入院先は病院と併設の病棟で各階によって重症度の違う患者で分けているようだ。
私は恐らく一番軽い症状の病棟に通され、そこで荷物検査が行われている間、面談を行い、白いカーテンで仕切られた6人部屋に案内された。
6人部屋は全部で8部屋あり、どれも施錠出来ず開けっ放しで、男女の部屋が向かい合わせになっているにも関わらずとても不用心に感じたが、病棟の性質上スタッフが対応しやすい作りになっているのだろうが、犯罪抑止とのバランスがおかしいとも感じた。
入り口側入って左手側の、小さな机代わりになる移動式の鍵付きワゴンと丸椅子、パイプベットで1畳程の白いカーテンで仕切られた防音性皆無な空間がわたしの唯一のプライベート空間になった。
病棟内は基本的に自由で、携帯も自由に触れた。
入院初期という事で環境に慣れず緊張していたのもあるが、隣の患者のいびきの煩さが連日の不眠の主因であることは間違いなかった。流石に三日目には我慢できずクレーム入れたらすんなりと別の部屋に移動して貰え、その日は今までの睡眠負債分を徴収する徴収者の如く睡魔にやられて朝食の時間まで熟睡することが出来た。
他の階はどのような入院生活を送っているのかわからないが、恐らくタイムスケジュールは変わらないのではなかろうか。
朝6時に部屋の点灯し、7時半に朝食が来て各自取りに行き、自分のベッドで食べ、食べ終わると戻す。病院食は朝昼晩と三食で、基本的に味付けは薄いがしっかりしている。退院した時殆ど運動していないにもかかわらず一月で2kg体重が落ちていたので、日常の一日2食で殆どコンビニ食で済ませているのにどんどんと太っていったので、食生活がどれだけ心身に悪影響があるかいい比較になった。
12時の昼食と18時の夕食までが長く感じて、ついつい売店を利用してしまう。
飲料水は不味い水道水しかないので薬屋喉の渇きを潤すには、自販機で買うしかなく、一日に2本は最低飲んでいたので入院中で一番大きな出費になった。
冷蔵庫有れば安い2リットルペットボトルを買ったのだが、常温では衛生的にも味にも影響が有り諦めた。
食事の時間と21時の消灯時間以外は本当に自由ではあるが、同じ数名がテレビをずっと見続けて、殆どの患者はベットから出てこずに過ごしていたので病棟内はテレビの音が響くだけで案外快適であった。
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