夜に聞いた話
槌の鋸
深夜の研究棟
理系の大学生活を送ると、夜の学校に居ることは多くなる。小学生、中学生の頃は深夜の学校は得体の知れない怖さがあった。曰くがない学校で深夜に居ても何も起こらないことを学んだ。ただし、それはあくまでも、曰く関することが何も起こらないと言うことだけ。
築10年程どの11階建ての5階にある研究室で、実験結果の解析していると、気付けば深夜になっている。そんなことを繰り返していると非常灯だけが光っている長い廊下でさえも怖さはなくなっていく。
仲のいい先輩の言葉を借りれば、
「無知で知らないことが怖い原因。」
その通りだなと思い、誰もいない研究室で一人丑三つ時を迎える。
何も起きないことは、この研究室に来て、3年経つ自分はしっかりと理解している。
ただ、1つも思うことがある。
同じ階には他に3つの研究室があるので自分以外にも他の研究室で深夜まで作業をしている学生はいる。
ただ、平日の決まった曜日だけ、深夜の1時ぐらいから3時ぐらいまで明かない個室のトイレがある。
オートライトだから、自分がトイレ行くまでは真っ暗だけどトイレに入れば奥の個室には鍵がかかってる。
中から音がするわけでもない。
ただ、鍵がかかっているだけ。
しかし、開けたいとは思わない。
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