魔法武術「マジックアーツ」 the MONSTER  

紫崎 劍

魔陣 魔法武術「マジックアーツ」 the MONSTER

「これが私の夢だ、夢の世界だ」

そこには嘗て英雄と憧れを抱かれ、そして現在は魔王と呼ばれる男がいた。

何もない荒野、夕焼けが血の色に染まる。戦場は血の海となる。


「魔法武術」「マジックアーツ」 the MONSTER


その男は何もかもをてにいれて生まれてきた。

才能、財力、名声、家庭環境

全てが揃っていた、揃いすぎていた。


男は飢えていた、退屈な日常。努力せずとも手に入る、技術

天性の才能。自然に巻き上がる歓声。


「つまらない」

「私にはこの常世はつまらない」

「なるようになる運命「モノガタリ」なんてつまらない」


そうして王「オトコ」は旅に出た。

戦場と戦場を渡り歩いた。

歴戦の戦場に男は生の喜びを知る。死にゆく仲間の悲鳴、敵の悲鳴

その中をかすりながら前へ前へ切り進み切り結ぶ。


そうして取った大将首の味、凌辱する女の悲鳴、獣どもの狂乱


この世の地獄それが男の飢えを唯一満たしてくれた。

「フフフフフフフフフアハハハハハハハ」


「この世は地獄だ、人間一つ肌を剥けば獣よ。愚かで下品で軽蔑する」

「だがソレがどうした、綺麗ごとで飾る貴族のなんと悍ましいことか」

「どれもこれもコインの裏と表、何も変わらない」

そうして悲しそうに言う

「死んだように生きて何が楽しい」

「生きたように死んでこその人生だ」



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