1年 第1学期 1週目

 

 Am7:30 アラーム音で身体を起こす。


 同じ部屋の子がまだ寝ているので、静かにベッドを降りて顔を洗いに行く(二段ベットの上です)

 パソコンを立ち上げて今日の時間割を再確認する。


(今日は2限目の9時から会計学合わせて3教科、午後から経済学3時間かぁ~)


 臺灣の大学1限目は、8時から1時間ごとに2限目、3限目と続く――

 フルで授業を入れていると、9時限目終わるのは18:00頃になる。

 もし夜間の授業を取っていれば、終わるのは10時前だったりする。


 大学だよね?と日本人の私が疑問に思うのも無理はないが、臺灣の学校事情を知れば8時が普通に思えてくる。

 小学校を基準に話すと

 Am07:30までに登校 それ以降は遅刻

 Am07:30 20分から30分は自習時間なのだが、本を読む時間帯や小テストの時間だったりする。

 Am08:00 授業開始

 ↓     4時間目まで 各10分休み時間

 Pm12:00 30分の給食

 Pm12:30 お昼寝

 Pm13:00 午後の授業開始 

 Pm15:00 15分から20分間 掃除の時間 因みにこれも採点される

 Pm16:00 下校


 ここで終わりと思ったら学校終わった後に、親が迎えに来てそのまま帰る子もいれば、大半の子が「安親班Ān qīn bān【学習塾】」に行く。そこで授業の復習をしたり、宿題をしたりする。

 親が共働きの子が多いからというのもあるけど、朝から晩まで勉強漬けの日々、よく見かけるのは大きなリュックを背負っている子もしくは、機内持ち込みサイズくらいのトランクを引っ張って歩く小学生たちだ。とりあえず重そうの一言に尽きるこれがランドセルに入っていたら肩がつぶれるなと思った。今は軽いのも売り出されているけど、ランドセル何も入ってなくても結構重いんだよなぁ~

 日本でいうクラブ活動なんだけど、ある学校はあるらしい、けれど有料なんだって


 だから大学の8時始まりは普通なのだ。

 先に臺灣の学期の説明すると、臺灣は2学期制で9月始まりで、6月終わりである。

 大学ではまず、9月の授業が開始した週から18週間が1学期で、9週目と18週目に中間と期末のテスト週間になる。大学の老師Lǎoshīによって多少前後するけれどもこれが基本的な数え方である。期末テストが終われば冬休みで旧暦の正月を挟むので、2月半ばくらいから2学期が始まり6月半ば以降に夏休みという流れだ。

 しかも臺灣は祝日がとことん少ない10日あるかないかくらいで、記念日だけど休日じゃないこともあるから学期によっては毎日学校である。日本の休日がとても恋しく感じたよ。因みに臺灣は旧暦の正月を祝うので、1月1日だけ休みで次の日は平日だよ。


 Am8:40 教室に到着ってまだ3人くらいしか教室にいなかった。

 勇気を出して「早安Zǎo ān!」って言ったら笑顔で返してくれた。これでも結構緊張するんだよ。話せる言葉が少ないからね。


 Am9:00 老師Lǎoshīがやって来て、教科の説明を始めた。使用する教科書とか学期の評価方法とかね。この評価方法を侮るべからず。


 期中考Qízhōngkǎo  30%

 期末考Qímò kǎo  30%

 平時Píngshí成績chéngjī 20%

 報告Bàogào   10%

 出席Chūxí   10%


 各教科多少パーセンテージに差はあるけれど、基本全教科このような形で伝えられる。

 期中考は中間テスト、期末考は期末テストの事を指している。平時成績は教科によって変わるけど、宿題とか小テストやノート点だったりする。

 そしてこの報告が厄介で、報告と言えばレポートの事なんだけれど。臺灣の場合、書面Shūmiàn報告bàogào【レポート】と上台Shàngtái報告bàogào【プレゼンテーション】この2つがセットで報告の事が多い。書面Shūmiàn報告bàogào【レポート】の片方だけって言う教科もあるけれど、上台Shàngtái報告bàogào【プレゼンテーション】をする場合にはレポートはセットである。因みに私の企業管理系は、別名:報告系と言われるくらいほぼ全教科体育に至ってもレポート提出があったりする。

 学科によって変わるけれど、私の学科は卒業までに140単位と在学中に4つ検定とTOEICを合格しなくてはならない。教科によっては3時間の授業でも2単位だったり、体育に至っては2時間必修であるが0単位である。


 海外の大学あるあるなのだが、大学に入学すること自体は難しくないのだ。問題は卒業できないことで、たとえ現地の臺灣の学生でも単位が足りなければ、卒業証書がもらえない。卒業前の4年生だろうが、老師Lǎoshīにとっては関係ないで終わる。勉強しなかったもしくは授業に参加しなかった己が悪いと言われるのだ。だから0単位だからといってサボれば、その分をもう一度1学期分受け直しである。単位を多少落としても進級は出来るが、落とした単位が必修科目なら卒業までに時間を見つけてとるしかないのである。

 そして最後の出席なのだがそのまま出席率である。私の大学は臺灣の大学の中でもかなり特殊な方で、全教科毎回「點名Diǎnmíng【点呼】」がある。途中抜ければ直ぐにバレるのだ。

 しかも毎学期「操行Cāoxíng」って項目があってこれは学期全体の出席率などが含まれる。持ち点80点から遅刻や病欠なら-0.5点、欠席は-1点と引かれていく、各教科の点呼の際、副班長が表にチェックを入れ、一日の終わりに「生活Shēnghuó輔導組fǔdǎo zǔ【生活指導】」に提出される。病欠も欠席した際に、病院の証明書と欠席理由書を担任に提出し印鑑を貰い、生活指導に提出しなければ病欠とは、認められないのだ。

 因みに欠点は、一律60点以下で、60点はギリギリセーフ、それ以下は欠点。しかもこれ小学校からずっと変わらずだって、私の高校、欠点40点がかわいく見えてくる。


 大学なのに高校にいる気分だよと私は心にそこから思った。


(平時成績と出席は確実に満点を目指すとして、報告は基本的にグループでやるからみんなの足を引っ張らないように出来ることからしないとなぁ~やばいのは中間と期末だな)


 そんな事を片隅で考えつつ、私の目は死んだ魚の様に生気を失っていた。

 授業の説明が終われば、時間がないからと授業が始まる。

 みんなもう分かるよね。ついていけないんだよ。耳が多少慣れてきてもついていけないものはついていけない。

 2歳児が大学生に交じって授業受けている様なものだからね。

 基本的にPowerPointのスライドショーで授業を進める老師Lǎoshīが多くて、早すぎて板書が追い付かない。

 黒板を使う老師Lǎoshīもいるのだが、達筆過ぎて何かいているか分からない老師Lǎoshīだっている。


 瞬きの間に1時間が終了しているのだ。休み時間に自分のノート見ると笑いがこみあげてくる。一番多く書かれているのが「分からん」の文字だったからだ。


(授業は不要な紙かメモ帳に書いて、空いた時間に復習するときに、ノートに書いて、後日本語で意味調べないと、教科書が届いたら予習と報告って何するんだろう。私時間足りるのだろうか)


 もう1つ困ったのが、教科によっては使う教科書を原文(英語の教科書)を使うと言っているのだ。

 英語苦手な私には、一番頭を抱える事案だった。


 その証拠に英語の授業で、老師Lǎoshīが授業の説明を終えると「みんなの実力見たいから小テストするね」とプリントを配りだした。プリントにざっと目を通し、並べ替えや穴埋めぽい問題を頑張って解いていく、そして最大の難関である「中国語を英語に、英語を中国語に訳しなさい」問題だ。

 問題の1つに、「Broccoli」って書いてある。答えはブロッコリーだ。うん、分かるんだよ。

 さて問題です。ブロッコリーの中国語は何でしょう?←私がぶち当たった壁はこれである。


國外Guówài來的lái de同學tóngxué,如果rúguǒ不知道bù zhīdào漢字hànzì可以寫kěyǐ xiě拼音pīnyīnhuò注音zhùyīn【海外から来た生徒のみんなは、漢字が分からなければピンインか注音で書いてもいいよ】」


 と老師Lǎoshīが言ってくれたのだが、それ以前の問題である。中国語で何というのか知らない。

 このままだと、分かる内容まで分からない子だと認識されてしまうので、仕方なく私は横にブロッコリーの絵を描いた。他の問題も書ける物は絵と日本語添えたよ。中国語は書けそうなのだけ書いた。

 訳しなさいの問題点は、英語から中国語がすぐに出てこない。私の頭の中では、英語→日本語→中国語となる。二か国語同時に聞くのは中々神経を使った。

 小テストが終わった後、老師Lǎoshīに聞かれた。「中国語勉強してどれくらいか」と私は正直に挨拶以外の言葉は、臺灣に来てからだから1か月前からですと答えると老師Lǎoshīは、「授業中もし分からない言葉が出てきたら授業を止めてしまうからと遠慮はしないで聞いてね」と言ってくれた。老師Lǎoshīは、学校は学ぶところだから分からないなら素直に分からないと聞いてくれた方が老師Lǎoshīとしても教えやすいとの事。


(分からなかったら聞いてもいいかぁ~全部って言ったらどんな顔するんだろう)


 因みに私は各教科の老師Lǎoshīに授業終わりに、挨拶へ行った。今の自分の中国語のレベルや採点基準の話など、さっき聞いたことがちゃんと聞けてるかの確認も込めて質問した。老師Lǎoshīによっては英語はどう?って聞かれたが、英語はもっと駄目ですと私は先に答えたのだった。


 初めの1週間、気が付けば夕方になっている。

 私の1学期の時間割は、月曜と水曜2限目から8限目 火曜は3限目から9限目 金曜は1限目から8限目 木曜授業なしとなった。(だから水曜日の夜に、私は一旦家の方に帰ることにした。)基本必修科目しかないので、どれも落とせない。あと海外の学生の為に月、火、水曜日の10限目から2時間、国語と数学と英語の補習授業が行われた。結論から言うと最終的にほぼ私一人しか行かないので、老師Lǎoshīが授業の仕方を私の復習を手伝ってくれる形になった。これはとても有難かった。なんせ国語は古文(日本でいう漢文)で先生が分かるようにエピソードを添えてゆっくり教えてくれたりした。後から知ったのだが、これ国語とか英語とかは少し加点してくれているらしい。真面目に授業を受けるって大事だね。


 木曜日の夕方、寮へと戻ってきた私は、寮の子の一人と駅へと向かう。今から教会の交流会に参加するのだ。

 同じ大学でも学部は沢山あるので、その大学にいる教会の子たちがお互いに交流を持てるようにと作られている場だ。2~3校くらいで1つの交流会としてまとめらている。

 そこでも自己紹介があったのだが、中々覚えられない。同じ苗字の人が沢山いるし、名前の発音が中々に難しい。巻き舌音があるやつないやつの区別がつかないし、何ならみんな同じに聞こえる。その日の夜私が頑張って覚えられたのは、10人の名前だけだった。これでも頑張ったんだよ。半分にも満たないけど……


 苗字が同じなので、臺灣では基本みんなフルネームで呼ぶ。親しくなれば、あだ名や下の名前で呼んだり、英語名を教えてくれる人もいるのだが、本来の名前とかけ離れすぎて覚えられない。

 かけ離れている理由が、学校で英語授業の時に先生がつけてくれた名前をそのまま使っている人と中国語の名前が難しすぎてわざわざ呼びやすい英語名を作る人がいるからだ。

 私の事は、フルネームで呼ぶ人と苗字で呼ぶ人、後面倒になって日本人って言う人で分かれた。教会の友達は下の名前で呼ぶので、私も早く自分から話しかけられるようにならないと後々困るなと思った。


 1週間後届いた教科書は、A4サイズの辞書並みに分厚い本たちが3冊 B5サイズの辞書並みに分厚い本が4冊あった。鞄に入らないので、2冊くらい抱えて歩くのが通常運転になりそうだなぁと思いつつ


 本格的な大学生活が始まります。



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