(ちょこっと短い話)新卒世代は、使える!お化け屋敷にスカウトされたら最強では?

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 「どこがホラーなんだ!」と、突っ込んではいけない。お化け屋敷は、血の劇場!やっぱり、ホラーなのは間違いないんじゃないか?

 さあいけ、新卒世代!

新卒な男子が、言われがちなこと。

 「お前らってさ?友だちではない知らない人に話しかけられると、顔が、真っ赤になるのな。過保護赤ちゃん」

 やめろー!

 そういうマイナスのイメージを、はねのけて生きるんだ。

 新卒世代の戦士の、彼のように。

 今年、大学を卒業予定。

 「知らない人が相手だと、真っ赤になる?」

 彼の場合には、もっとすごい。

 「話しかけられる前に、出会っただけで」顔が、真っ赤になってしまうのだ!

 やるね!

 彼は、バカにされない。

 なぜか?

 「おばけ屋敷」で、使えたからだ!

 彼は、「おばけ屋敷」を経営するアミューズメント会社にスカウトされ、見事に就職。

 現場での彼は、本当に使えた。

 「おばけ屋敷」に入ってくる客たちは、暗がりの中で待ち伏せる彼にとって、知らない人たちばかりだ。

 その客たちが、おばけに扮した彼を見る。

 待ち伏せをしていた彼は、客に見られただけで顔真っ赤。

 これを、「血じゃないか?」と客がかんちがい。

 暗がりの中で、悲鳴が上がる。

 「あの会社のおばけ屋敷って、すごいらしいぜ?」

 「らしいな」

 「すごくね?」

 「マジで、リアルに顔の色が変わっていくおばけがいるんだろう?」

 「らしいな」

 「いってみるか?」

 「いこう」

 新卒な彼は、使える社会人だった。

 あの事件が、起きるまでは。

 昨日、彼は、驚いた客になぐられ倒れてしまう。

 彼をなぐったその客は、女の子。

 新卒世代は、体力がない。

 女の子になぐられ、彼の顔が真っ赤に染まった。

 「た、助けてください…!」

 女の子に負けた彼は、会社の仲間に助けを求めた。

 が…。

 誰も、彼を助けてくれず。

 なぜか?

 「さすが、新卒!」

 「いつものように、知らない人を見て、赤くなったのか?」

 どうせ、いつものように、顔が赤くなっただけなんだろうと思われていたから。

 「見ろよ、こいつ」

 「新卒の顔、良いね」

 「まだ、赤い」

 「やっぱり、知らない人に話しかけられたから、赤くなったのか?」

 「こいつらに裏切られた世代、みじめ」

 「おばけになって出るだけじゃあ、済まないな」

 「それ!」

 新卒世代の彼、病院に運ばれる前に動かなくなる。

 だれにも助けてもらえない、ぼっちな怖さ。

 この社会は、すべてお化け屋敷でできているのだ。






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