第29話 ラム②

 他の酒と同じようにラムにも種類があって、分類法も複数ある。

 一般的なのは色での分け方で、無色透明のホワイト、ウィスキーよりもやや明るい色のゴールド、ブランデーのような色のダークがある。

 ホワイトは蒸留後に活性炭でろ過してほとんど熟成しない物。ゴールドは2~3か月程度木の樽で熟成する物。ダークはそれ以上の期間熟成するタイプだ。


 ラムと言えば何色と言うわけではなく、ホワイトでもダークでもあり得る。色が違うと当然ながら味も大きく違うので、梅酒を作っても全く違うものになることが想像できる。

 いろいろ考えたが、結局ラムはホワイトとダークを両方使用して、それぞれの違いも確認してみることにした。

 ちなみに、味と色の濃さで、ライト、ミディアム、ヘヴィの分け方もあるらしい。ライトは連続式蒸留した物をホワイトオーク樽やステンレスタンクで短期間熟成する物。ヘヴィは単式蒸留した後に眺めに熟成する物。ミディアムはその間。

 味を比較したことはないので、色が濃かったら味も濃いだろうと思えば合っているのだろうか。


 ラムはカリブ海周辺地域や航海時代を題材にした作品に登場することが多い。

 そうした作品の中で私の印象に残っているのが、デイビッド・L・ロビンズの小説「カストロ謀殺指令(原題:The Betrayal Game)」。

 1961年のキューバを舞台に、暗殺の歴史を研究するためにハバナを訪れたアメリカ人のラメック教授が、フィデル・カストロ暗殺をもくろむCIAの暗躍に巻き込まれていく話だ。

 ハバナに滞在したラメックは、キューバの秘密警察のホアン警部と知り合いになって訪問を受ける。その時の手土産が、有名な葉巻「パルタガス」と8年物のラム。

 ラメックがキューバに滞在している間に飲んでいたのは15年物だったが、ホアンは15年物は外国人客や輸出のための物で、キューバ人は8年物の方を飲むと説いた。ホワン曰く、「8年物はあらゆるものが失われていない。15年物では古すぎる」とのこと。ラメックも8年物を気に入り、その後も各所で登場することになる。

 昼の休憩の時にホアンが訪ねてきたときにも飲んでいたが、確かにラムなら疲れたときにもそれほどきつくないのかもしれないと思わせるところがある。

 調べてみたところでは7年物や8年物のラムは普通に売っており、値段もボトルで3000円ぐらいと、手が届かないこともない範囲であることが分かった。

 余裕があればいつか飲むことになるかもしれない。

 葉巻の方に関しては、喫煙はしないので手を出さないだろう。

 1本で1500円もする代物を箱で購入することは出来ないし……。

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