第16話 芋焼酎 黒霧島

 今回選んだのは宮城の霧島酒造が作る「黒霧島」。

 霧島酒造は日本の焼酎売り上げ第1位の会社だ。麦焼酎の代表が三和酒類なら、芋焼酎の代表は間違いなく霧島酒造と言える。

 黒霧島は霧島酒造の製品の中でも特に高いシェアを誇る製品で、黒麹を使っているのがその名前の由来だ。

 実は白麹を使った焼酎の「霧島(現在は白霧島)」が創業時から作られている製品で、黒霧島は後から生まれたのだが、今ではこちらの方が顔となっているために黒霧島をチョイス。いいちこと同じスタイルの、200mlプラボトルの25度を2つ買った。


 黒霧島と言えば思い出が一つ。大学では農学部にいた私は、作物学の講義をとっていた。教授はガイダンスの際に、もしもテストの結果に不安があって単位が取れるか心配なら、アポロチョコと黒霧島を土産にすれば考えなくもない、ということを言っていた。

 私は何とか及第点だったので焼酎を賄賂に使うことはなかったが、成功した人はいたのだろうか?


 梅酒を漬けた後に味見すると、今までも何度か飲んだことのあるなじみの香りと味が来た。麦焼酎に比べると、重めの香りがズガンと当たってくる。

 芋の香り、というよりも芋らしいぎっしりと詰まった香りという感じだろうか。ただ、味の方はドライで、飲みにくさなどはない。

 25度の酒ぐらいなら「飲みやすい」と思ってしまうのは、味覚がおっさん化してきた証拠かもしれない。

 大学の時の先生は、「君らもその内、飲み屋で2杯目から焼酎とか行くようになるよ」と言っていた。その際はまさかと思っていたが、あながち嘘でもなかったということなのだろうか……。


 梅酒にした時には、芋焼酎の味よりも香りがどのように梅の香りと合わさるのかが注目ポイントだろう。

 マッチしていれば梅酒は芋焼酎で作るとおいしいとなるし、合わなければ麦焼酎で作った方がいいということになる。

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