第5話 梅酒の“定義”って?

 これまでに述べた通り、梅酒は梅と氷砂糖を度数の高い蒸留酒に漬け込んで、味と香りを抽出して作る酒だ。

 このように、果物やハーブなどの素材を強い酒に漬け込んで成分を抽出し、砂糖などで味を付けた酒は「リキュール」と呼ばれる。

 日本の酒税法での「リキュール」は「酒類と糖類その他の物品(酒類を含む)を原料とした酒類でエキス分が2%以上のもの(ただし清酒、合成焼酎、しょうちゅう、みりん、ビール、果実酒類、ウイスキー類、発泡酒、粉末酒を除く。)」とされている。

 このくくりはかなり大雑把で、日本の法律においてはチューハイや第3のビールもリキュールに含まれる。


 もうちょい厳密なEUにおける定義では「糖分が1Lあたり100g以上含まれているアルコール飲料」となる。

 アメリカでは「アルコール・ブランデー・ジンやその他スピリッツを用い、副材料(果実やハーブ、生薬や天然のフレーバー)を加えて製造され、砂糖を2.5%以上含むもの」とされる。

 特に細かいフランスでは「副材料(果実やハーブなど)をアルコール中に煎じ、浸透させ、もしくはその液体を蒸留させたもの、またはそれぞれを調合した液体であって、砂糖などで甘味が加えられ、アルコール分15%以上のもの」らしい。

 とりあえず、リキュールと言えばアメリカやフランスの定義がいちばん特徴をよくとらえているとみてよさそうで、梅酒は世界的に見てもこのカテゴリーに入る酒である、ということになる。


 というわけで、梅酒は「梅を使ったリキュール」と言えば、世界的な観点から見て正しく定義づけできていると思う。もしも他の国の方に説明する機会があれば、そういう風に言ってしまってもいいだろう。

(梅が分からなければ、英語圏の人なら「ジャパニーズ・プラム」というニュアンスで何となく想像がつくようだ)

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