勘弁してくれby小林 4人用台本
ちぃねぇ
第1話 先生、好きです!
0:教室に3人の女子高生。
美樹:第37回!小林先生を振り向かせる為の会議を始めます!
玲奈:はい議長~
美樹:なんですか松野玲奈さん
玲奈:もうそろそろ諦めたほうがいいと思いまーす
美樹:ハイ却下。次の人~
有希:はい議長
美樹:はい、伊藤有希さん
有希:いい加減諦めてくれませんか~付き合わされるこっちの身にもなってくださーい
美樹:ハイ却下。次の人~
有希:次なんかいないわよ
美樹:なんでよ!なんで二人ともそんなことばっかり言うの!?
玲奈:昨日のテレビ見た?大石君マジカッコよくなかった?
有希:わかりみ深すぎマル。あれは神だったね
玲奈:だよね。あの間奏のとこのウィンクがさー
美樹:ちょっと!二人で別の話しないで!!
有希:美樹さぁ…もうほんと、そろそろ卒業しよう?小林先生離れしよう?
玲奈:うちら来年高3よ?1年のころから定期的に会議開いてるけどさー、一度も成功したことないじゃん
美樹:それは!二人の持ってくるアイディアにロクなものがないから
玲奈:なんだっけ?今まで出した大作戦
有希:えっと~普段おろしっぱなしの髪の毛をまとめて、うなじを見せてどきりとさせちゃいましょう!大作戦とか
玲奈:あったあったそんなの!でも全然気づかれないもんだから、うなじ見せるためにふるふる頭動かしてたら~
有希:「近藤さん、分からないところがあるなら手を挙げてください」って注意されたっけ?
美樹:ううっ
玲奈:あとほら、結ぶのが趣味じゃないんだよって髪巻いてみたら
有希:「近藤さん、学校にパーマしてこないでください」って呼び出し受けてたっけ
美樹:二人っきりで叱ってくれると思ったのに…なんで1組の真知子先生まで呼ぶのよ~!
玲奈:そりゃこのご時世、女子生徒と二人っきりとか、やばいっしょ
有希:美樹のせいで、大大大好きな小林先生が職を追われてもいいの?
美樹:よくないけど…って言うかパーマじゃなくて、コテでカールしただけなのにっ!
有希:あの小林先生がそんな違い、分かるわけないでしょ
玲奈:いつ見てもよれよれTシャツにボーボーの無精ひげ。よく保護者からクレーム入んないよね
美樹:3日に一回はひげ剃ってるよ!短い時あるじゃん
玲奈:そんなに注視してませーん
有希:ありゃ絶対彼女いないわ
美樹:ってことは私にもチャンスがあるってこと!?
玲奈:ねーよ
有希:100パーねーよ
美樹:なんでぇ!?
玲奈:そもそも、裏であいつ「ダサこば」って呼ばれてんだよ?あんなののどこがいいのさ
美樹:そのダサさが可愛いんじゃん
玲奈:はぁ?
美樹:庇護欲?母性?守ってあげたい感じ?あの眠そうな顔とか、一日中頭撫でて膝枕してあげたい
玲奈:意味わからん。さっさと顔洗ってシャキッとしろって蹴り上げたくなるならわかるけど
有希:美樹はあれだよね、ダメンズにハマるタイプだよね
玲奈:もしくはB専。よかったじゃん、ライバル多きイケメンくんに夢中になるタイプじゃなくて
美樹:全然よくないっ!一目惚れした1年春から丸二年!気づけば私の青春残り3分の1!しかも来年受験!!もうここいらで玉砕覚悟で告りにいったほうがいいかな!?
玲奈:玉砕覚悟も何も、「先生、好きです」って美樹、何回特攻してたっけ?
有希:通算58回
玲奈:おお、よくカウントしてたね有希
有希:そして決まって返事はいつも
美樹:「スカート短すぎますよ近藤さん、風邪ひきますからさっさとお家に帰りましょう」…うう…ううう!!心配してくれるなら先生のお家にお持ち帰りしてよぉぉ!あっためてよぉぉ!!
玲奈:大人がさ、本気で私らのことそういう目で見てたらアウトじゃん
有希:うちら、最強のJKだけどさ、JKなんだよJK。特に先生からしたら絶対手を出せないアウトな存在なの、わかる?
美樹:わかるよ!わかるけどさ!だって好きなんだもん…ちゅーしたい…さとるの唇奪いたい…
0:小林登場。
小林:勝手に下の名前を呼ばないでください、近藤美樹さん
有希:あ、本人登場
美樹:今日も一段と可愛いですね、先生
玲奈:ダメージゼロかよ
小林:部活動の時間もとっくに終わったので、さっさと帰ってください
美樹:先生も一緒に帰りましょう?なんなら先生のお家に
小林:(遮って)帰りません。まだ仕事があります
美樹:じゃあそのお仕事終わるまで待ちます
小林:だったらお仕事が永久に終わらないよう調整します
美樹:そんなぁ
有希:なんでこれで振り向いてもらえると思っているのか
玲奈:哀れだよね
有希:いや、一周回ってここまでくると面白い
小林:松野さん伊藤さん。ご友人の暴走を面白がらないでください
玲奈:いや~だって…ねぇ?
有希:先生もここまで想ってくれる人がいるなんて、素敵なことじゃないですかぁ
小林:全世界のストーカー被害者におんなじこと言えますか?
美樹:ひどっ!私ストーカーなんてしてません
玲奈:そーそー。美樹はいつでもダイレクトアタックしか仕掛けらんないんだから
有希:待ち伏せとか無理無理。その点健全なストーカーですよ?
小林:結局ストーカーじゃないですか
美樹:だから私はストーカーなんかじゃ!
小林:あのねぇ、近藤さん
美樹:はい、なんでしょう
小林:上目遣いをやめてください
美樹:可愛いでしょう?
玲奈:心臓つええな
有希:タフすぎでしょ
小林:…近藤さん。私は何度アタックされても、あなたになびくことはありません
美樹:なんでですか!?
小林:教師が未成年に手を出せるわけないでしょう
美樹:ってことは、手を出したいんですか!?
小林:興味すら湧きません
美樹:そんなぁ!
小林:あと近藤さん、最近数学の成績が下がり気味です。わからないところがあるのなら教えますから、まずは勉学に励んでください
美樹:そして二人の愛も育みましょうよ
小林:サインコサインタンジェントでその頭の中埋め尽くしてくださいね
美樹:あああ~つれない…でもそんなところもす、て、き
小林:ふたりとも、この人回収してさっさと教室出てください、鍵閉めますよ
有希:はぁ~い
小林:あ、そうそう、伊藤さんは進学希望の大学の提出、明日までなのでお忘れなく
有希:わかりました~
美樹:あ~ん!先生っ!もうちょっとお喋りしましょうよぉ~
小林:はい気を付けて帰ってくださいね、さようなら
0:教室を追い出された3人。
有希:なしのつぶてね
玲奈:取り付く島なし
美樹:今日もかっこよかったなぁ~さとる
玲奈:重症だな
有希:お薬出しときますね~
玲奈:医者がさじを投げたか
有希:むしろ立ってた病院が逃げる
美樹:何よ二人とも!あーあ…今日もまた失敗かぁ
玲奈:成功する未来見えてんのこええよ
美樹:あ、私帰る前にトイレ寄ってくね
有希:おっけ。待ってる
0:美樹が姿を消し、廊下に取り残された玲奈と有希。
有希:美樹ってばほんと懲りないよね~。あんだけ華麗にスルーされてるのによく2年も好き好き言えるよねー
玲奈:ね!にしてもほんと、なんであんなに剛速球ストレートしか投げないかなぁ。ストーカーになれとは言わないけどさ
有希:回りくどい裏工作とかしないよね。あ、違うか「できない」の間違いか
玲奈:確かに。まあそこが美樹の可愛いところなんだけどさ
有希:(笑う)…でも、このまま散り続ける友人を見守るのはちょっと忍びないわよね
玲奈:まあねぇ
有希:…ねぇ
玲奈:なに?
有希:ちょっとだけ、アシストしちゃおっか?
玲奈:アシスト?
有希:そう
玲奈:どうやって?
有希:それはまあ、おいおい考えるとして
玲奈:なにそれ(笑)
有希:別に無理やりくっつけようってわけじゃないわよ?でもさ、もし機会があればちょっとでも助けてあげたいじゃない?
玲奈:うーん…まあ、それはそうだけど
有希:なに、乗り気でない?まさか玲奈あんた…
玲奈:ん?
有希:あんたも実は、小林先生のこと好きだったり
玲奈:ない!あり得ない!
有希:そんな全力否定しなくても
玲奈:あいつだけはないって!
有希:そんなにないかな?先生もっさいけど…整えたら意外と見れる顔だと思うんだけど
玲奈:顔とかそういう問題じゃなくて
有希:?
玲奈:はぁ…仕方ない。まあ、機会があったらプッシュしてみるよ
有希:お、おう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます