超魔法少女

反応

わけわかんねぇ状況とわけわかんねぇ女とわけわかんねぇコト

第1話 謎の芋虫と謎の女

 「何だよ!こいつ!」


 夕暮れの街、誰もいないその街を1人の制服姿の少女が走っている。


 彼女の名は蜂谷 鏡はちや かがみ、高校一年生の16歳だ。


 背後からは無数の黒ずんだ人の足が生えた巨大な紫色の芋虫が轟音を鳴らしながら追いかけてきており、ガードレールや標識を次々と踏みつぶしていく。


 口からは上下ではなく左右から生えた人のそれに似た歯をギチギチと鳴らしながら、茶色く濁った液体を口の端から垂らしている。


 「夢か!?夢だな!」


 そう叫びながら鏡は視界の端に入った、人が通れそうな路地裏を見つけるとそこへと入り込む。そしてしばらく奥へ進むと壁に背を預けて肩で呼吸をする。


 「何なんだマジで!」


 路地裏から見える大通りを巨大な芋虫が通過していく。その時の風で舞い上がった砂埃が鏡の視界を遮る。


 左腕を目に当てて防ぎながら、目を開けて大通りを覗き込む。


 遠くなっていく芋虫の後ろ姿が目に映った。


 「何かの撮影か?」


 鏡が顔を引き戻すと肩を叩かれる。


 「うお!?」


 肩を飛び跳ねさせて鏡は驚いた。


 「ごめんなさい、びっくりさせたわね」


 そこにいたのはスーツ姿でおかっぱ頭の女だった。


 「な、何だあんた……」


 芋虫から逃げ続けて全身が汗で濡れている鏡はまだ呼吸が整っておらず、何度も浅い呼吸を繰り返している。


 「私は魔法庁の獅子堂レイラよ」


 「ま、まほーちょー?」


 「……まぁ、気にしないでいいわ。貴女あの魔物からよく逃げたわね」


 「見てたなら助けてくれよ」


 「貴女が殺されそうになったら助けるつもりだったのよ」


 「で、この状況どうなってるかあんたわかんのか」


 「ええ、突然この街にあの魔物が現れて次々と街の人を襲っていったのよ。街を歩いている人たちはあれに踏みつぶされ、建物の中に逃げているの。幸いあれに知性は無く、ただ道路を走って人を踏みつぶすのが楽しいみたいね」


 「な、何でそんなのがいるんだよ……」


 呼吸を整えた鏡は額の汗を腕で拭い、淡々と説明をしているレイラを見る。


 「簡単に言うとパラレルワールドから何らかの方法でこちらにやってきたの。ああいう魔物達が何体もここに来てるわ。私はそれを倒しに来たの」


 「……?」


 いまいち理解をしていない鏡の顔を見て、レイラは特に気にする様子もなくそのまま話を続ける。


 「まぁいいわ、後々にわかるわ。それより貴女、あんな魔物達からこの国を守ってみない?」


 「は……?」


 

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