第55話 間欠泉の戦い1
「すげーーー!本当にえぐれてやがるぜ!!
大将、もっと派手にやりやしょうぜ!」
「お、おうよ。お前らダイナマイトをぶっ刺す穴10ほど開けとけ。今度はまとめていくぜ!!」
恐る恐る火を着けたダイナマイトが面白いほどの大きな穴を開けてくれて、すっかり御満悦の大将。
これならばと調子に乗って10本ほど一気にセットして、勢いで着火。
ズズズズズ…………
ドッカーーーン!!!
ドッカーーーン!!!
ドッカーーーン!!!
ドッカーーーン!!!
ドッカーーーン!!!
あまりの爆発の大きさに思わず目を瞑ってしまう。
ハヤトから支給されたヘルメットにも砕け散った岩山の破片が、ばんばん当たっていた。
「あっぶねーー
そ、そうだ、皆んな大丈夫かーーーー!!」
「大将、そりゃねえぜ!えらい爆破でこの世の終わりかって思っちまったよ」
「悪い、悪い。
しっかし、こりゃおっかねぇもんだな。
で、岩山は…………」
街道にトンネルを掘るように仕掛けてあったダイナマイトは、想定の2倍以上の穴を開けていた。
1番深くまで埋まっていたダイナマイトは岩山の反対側まで見事に貫通し、向こう側の街道が、見えている。
「どうやら、上手くいったようだ…………な!!!なぁーーわぁーーー」
100メートルほどのトンネルの中ほど、突然水が吹き出した。
「なんだありゃ?水が吹き出してるぜ?」
不用意に作業員のひとりが近づいていく。
「熱っ!熱っ!」
水だと思ってたものは熱湯であった。
その熱湯を被った作業員は頭を抱えて蹲る。
慌てて助けに行き、冷たい水で冷やす。
「治療魔術師を呼んでくれ!はやく!」
すぐに駆けつけた魔術師のお陰で、一命を取り留めた作業員。
完全に治ったかのように見えたが、彼の頭に髪の毛が戻ってくることは無かったそうだ。
治療にバタバタとしている間に吹き上がった熱湯は収まっていた。
そして、吹き出す気配が無いと判断した大将は、自ら近寄って調べようとした。
トンネル近くまで来た時、なんの前触れも無く、いきなり熱湯が吹き出す。
慌てて逃げるも、またもや治療魔術師のお世話に。
結局、大将の頭も散髪要らずになってしまった。
この事故?の話しはすぐにハヤトの元に伝わった。
「間欠泉!間欠泉だーー!」
急いで現場に戻ってみると、たしかに間欠泉が穴の真ん中に吹き出していた。
真上に上がった熱湯は、トンネルの天井に当たり、飛散。
辺り一面の街道を水浸しにしていた。
「うーーん、この岩山自体、潰しちゃおうかな。
街道は少し迂回させれば良いや」
せっかく間欠泉が出たんだ。
ここに穴を掘って吹き上がった熱湯を溜めてやれば温泉になるじゃないか。
さっそく、土魔法を使って、トンネルの上部を少しづつ上に掘っていく。
その間も5分間隔くらいで噴出は続いている。
そして20分くらい上に掘ったところで、ようやく間欠泉の噴出が岩に当たらなくなったのだった。
しばらく様子を見ていたが、どうやら大丈夫そうなので、土魔法で岩山の右側に穴を掘り、そこに収納から出した元砦の岩を落として、道を作っていく。
そろそろ完成かと思われた時、それはやってきたんだ。
「グキャーー!!」
「なんだ?なんだ?」
作業員達が、奇妙な声の存在を探していた。
「う、うわぁーーー!!」
そしてひとりが、大声をあげる。
今吹き出したばかりの間欠泉の湯煙の中にぼんやり浮かぶ姿が、だんだんと明らかになってきた。
「「で、でかい魔物だ!!」」
作業員の皆さんが悲鳴にも近い声を張り上げる中、俺は驚愕していた。
やがて体長15メートルほどの巨体が完全に姿を現す。
「なんで、なんでゴジ○なんだあああ!」
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