第14話 独立戦争 ②
二日後、救出した男性が目を覚ましたと担当看護師から連絡をもらい、ロイは彼の病室を訪ねた。
「気分はどうですか?」ベッド脇の椅子に腰掛けると「ダルさがあるが大丈夫だ」上体を起こしてベッドに寄り掛かる。
彼は長く伸ばしたきれいな栗毛を頭の後ろで一つに結び、切れ長の目をした二十代後半に見える、少し不愛想な感じがする男だった。
「とにかく大したケガでなくてよかった。僕は艦長のロイ」
「君が艦長? ずいぶん若いな。もしかして実習中か?」怪訝な顔をするが「とにかく助かった」礼を言いマーティと名乗った。
「ところで、どうして流星群に巻き込まれたんだ?」遠回しに事故原因を聞くと、マーティは観察するようにロイを見て「どこから来た?」と聞き返す。
「SRⅢエリアからだけど」
「サウスリゾートスリー? 亜熱帯エリアか。そんな遠くから来たのか?」
「ああ。一年くらい掛かったかな」
「なぜここに来た?」
「探しものをしてるんだ。その途中で君のSOSをキャッチした」
「こんな所まで探しにくるものとはどんなものなんだ?」
「まあ、いろいろと事情があってね」
「……そうか」
「警戒は解けたか?」
「エッ? ああ、疑って悪かった」
「まあ、何か理由がなきゃ、流星群に突っ込むなんて滅多にないからな」
「ワザと突っ込んだんだ」
「ワザと? なぜ?」聞き返すと、どうしたものかと考え込むので「心配しなくていい。僕たちは敵じゃない」すると顔を上げ「ヴィラパス系のことは知ってるか?」と聞いてきた。
「この先にある植民系星だろう? 確か独立運動が起こってて、大変なことになってるんじゃないか? 宇宙管理局から、あの星域には近寄らないよう通達がきてる」
「俺はその宇宙管理局、ヴィラパス系を含む辺境エリアの支局員だった」
ヴィラパス系は五つの惑星からなる小型の系星で、主星は第二惑星アエースド。
今は隣のミッド系の支配下にある植民系星である。
「君は宇宙管理局の人だったのか」予想外のことに驚くが「だからエリアのコードネームを知ってたのか」と納得し「大変なことになってるな」
「しかし、もうすぐ終わる。独立派の大敗という結果で」
「じゃあ、かなり鎮圧してるんだ。管理局員も大変だな」
「反旗を
「なんだって!」
「支局員の殆どは地元出身者だ。こんな辺ぴな所へ回されるのは、出身者か、ヘマをして
「……そう、なのか」
「綿密に立てた計画は順調に
「誰なんだ?」
「宇宙管理局が誇る武装チーム。漆黒の軍団、ブラックマルスだ」
「ブラックマルス? あの破壊神と悪名のある?」
「そうだ。俺たちが掴んだ情報では、ブラックマルスは別の場所に派遣されてて、こちらに来られるはずがなかったんだ」と頭を抱える。
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