夜食と地層

@kizono

1. 水面

彼等は目が冴えてきて、

怯えているようだ。私に。世界に。

緊張が、水面を漂う油膜のようにゆったり伝わってくる。


彼等の最初の反応は、呼吸の変化で、

それはまるで、まるまる太った深海魚の鰓から小さな気泡が昇るみたいだった。

彼等は呼吸を止めたよう。

完全にこれは臨戦態勢。空気の引き裂かれる予兆があった。

私は恐怖を感じる。

なのに彼等から目を離せない。


私は片方だけ、目を閉じることにした。


片目で眠りながら、玉虫色の反射膜がゆっくり近づいてくるのを感じる。

幽かな硫黄の臭い。

心臓と指の末端が、温度を知覚できない。

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