第155話 劇的な変化
◆氷室麗華side
今私の身体には劇的な変化が起きていた。
それは、以前よりも格段に強くなったというのも勿論あるのだが、そんな事ではなくてどちらかと言えば精神面で見れば全くの別人になってしまったと言えよう。
以前までは適当だった髪の毛のケアや身だしなみに気を付けるようになり、できるだけ行動はたおやかに、荒くならないように気を付け始める。
それは勿論行動ではなく言動においてもだ。
その変化に言葉を付けるとするならば恐らく『恋』という言葉がしっくりくるだろう。
恐らくというのは、そもそも私はこの歳まで恋愛という事をしたことが無いので、当然異性に恋するという感情がどういうものであるのか分からないのである。
だから私は、自分自身に突如として訪れたこの、まるで精神支配をされたのでは? と思える程の変化が何なのかと色々調べた結果、どのように調べても、それがネットだろうが書物だろうが某知恵袋であろうが『恋』という答えに行きつくのだから、きっと今私の身体に訪れているこの変化は恋なのだろう。
しかしながら、なんだか変な気分である。
恋を知る前の自分と恋を知ってからの自分が、まるで別人にでもなってしまったかのような感覚は、恋をするまではいくら説明しても理解できなかった事だろう。
行動パターンどころか価値観が変わるなどとは思ってもみなかった。
その事を、恋を知る前の私に伝えた所で間違いなく信じてくれないだろう。
そんな事を思いながら私は街中を歩く。
この町は東條様が居なければ今頃がれきの山になってしまっていただろう。
今聞こえる日常の雑音、歩く音や話し声なども当然無いのだと思うと、より一層私は力をくれた東條様に、そして未だに未熟な私たちを見守り、助けてくれる東條様に対して恋心が強まるのも仕方のない事だろう。
そんな事を考えている最中も私は『今ここに東條様がいるかもしれない』と思い、東條様の姿を探しながら街中を散策しているほど、私の日常生活に東條様は入り込んできている。
そう、恋を知った私は今東條様を中心に生活していると言っても過言ではない。
それはもう、私と東條様は結婚していると言っても過言では無いのではなかろうか。
因みにネットやテレビ、SNSなどでは謎の男性魔術師が未だに話題として取り上げられているのだが、例え姿を隠しても東條様のすばらしさは隠す事ができなかったという事なのだろう。
そう思うと、謎の男性魔術師が東條様であるという事を知っているというのを自慢したくなるのと同時に、誰にも教えたくないという相反する感情が芽生えて来る。
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ドラゴンノベルコンテストに参加する為、更新は一旦停止いたします。
コンテストが終わり次第更新し始めますので何卒宜しくお願いいたします('ω')ノ
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