第60話 マジもマジッ!! 大真面目さっ!!
「さぁ、どうかしら……っ」
「おいおい強がんなよ。 この際だから教えてやるけど俺たち男性は魔力保有量が少ない代わりに筋肉の総量が多いため、お前たちが身体強化して得た力を俺たち男性は同じ身体強化を使って魔力消費量はお前たちが消費している魔力の四分の一以下で済むんだよっ!! ここまで言って俺が何を言いたいのか分からない馬鹿じゃぁ無いよなぁっ!?」
そして俺が懇切丁寧に教えてやると、やっと自分たちが置かれている状況がいかに絶望的な状況であるのか気付いたのか、魔術師の顔が絶望に染まっていくのが見て分かる。
あぁ、その表情が見たかったんだっ!! この表情だけでイってしまいそうだぜっ!!
そもそも、やられたからやり返すのは『ミイラ取りがミイラになるだけだ』だとか『お前もあいつらと同じ人間になるのか?』だとか『お前が嫌う奴らと同じ所まで落ちるのか?』などと好き勝手言ってくる奴らがいるけど、そんなのおかしいに決まっているだろう。
やられたからやり返す。
ただそれだけだ。
「俺たち男はお前たち女どものサンドバックじゃぁねぇんだぞっ!! くそがよぉっ!!」
そして俺はそう叫ぶと、刀を捨てて目の前の女をぶん殴る。
俺がまさか刀を捨てるとは思っていなかったのだろう。
意表を突かれた女は防御する事も出来ずにそのまま吹き飛んでいく。
「お前たちが魔術の技術を磨いてきたように、俺たちは格闘技全般を磨いてきてんだよボケが。 俺たちよりも身体能力が低く、格闘技を習ってきていないお前たちが俺たち男性に勝てる訳がねぇんだわっ!!」
そして俺は更に追撃をしようと、頭を押さえながらふらふらと立ち上がってくる魔術師の女へ一気に距離を詰めて近づき、とどめの一撃とばかりに渾身の右ストレートを撃とうとした瞬間、何者かに俺の手首を掴まれて止められる。
「勝負はついてんだろうが……。 今何しようとした? お前」
◆
「これ、マジで言ってんの? 普通のスウェットとかジャージじゃダメなんすかね?」
「あぁ、マジもマジッ!! 大真面目さっ!! というか、せっかくの晴れ舞台でそんなモッサイ服を着るとか正気かねっ!? もう少ししたら裏ルートで麗華も来るだろうからそれまでに着替えてもらえるとありがたいっ!!」
「は? なんで麗華の名前が出てくるんだ?」
「え? 麗華も一緒にこの服を着て、お前と一緒に活動するからだろうっ!!」
とりあえず目をキラキラさせながら、俺が中学生二年生であれば『闇の組織の人たちが着ていそうな服でカッコいいっ!!』と諸手を上げて喜んでいたのだろうが、精神年齢五十前後ともなると『だせぇ……』と思ってしまう、そんな衣服を斎藤博士が俺に押し付けてくるではないか。
しかも聞き捨てならないのが、麗華も一緒に着て活動すると言うではないか。
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