第39話 やっとこの時が来た
しかしながらお互いに心が通っていると思っていたのは、どうやら私だけみたいであったようである。
中島助手は、まるで私の事を変態であるかのような表情で見つめてくるではないか。
そもそもである。
同性に対してあの程度でセクハラというレッテルを貼られ、変態だと思われたのでは、世の中変態だらけのセクハラだらけになってしまうではないかっ!!
やはり、こればかりは私ではなく中島助手が間違っているに違いないのだっ!!
「なに『そんな訳が、ある筈がないっ!!』みたいな表情をしているのですか? まったく、ある意味でこの研究所を山奥に作ったのは正解だったかもしれませんね。 もし街中に作ってしまっていたのだとしたら数日と経たずにセクハラ容疑で逮捕されていたかもしれませんから……」
「そんな訳なかろうっ!! 異性相手、それも年下でまだ学生である東條君相手ならばまだしも、同性で少しばかり年齢が下の中島助手相手には、先ほどレベルの言動はセクハラに該当するわけがなかろうっ!! そもそもどうせであれば胸を後ろから揉みしだくレベルであろうともセクハラには該当しない筈だっ!!」
そう私が言うと中島助手は頭を手で押さえながら『駄目だコイツ』みたいな視線を向けてくるではないか。
……あれ? 完璧な論理で説得するつもりが余計にダメな奴認定をされている気がするのだが、気のせいだろうか?
「斎藤博士……」
「な、何だね?」
「学生である東條君を出して『まだしも』という感覚の時点でおかしいと気付くべきです……。 年上であろうと学生でなかろうと、それが例えオッサンであっても、そして同性であろうともとしても相手が嫌がったのならばセクハラに該当します。 そして、学生である東條君の場合はセクハラではなく犯罪になる可能性があるので、本っ………………ッ当に気を付けてくださいねっ!! 性犯罪者として斎藤博士がテレビデビューとかしないでくださいよっ!!」
「……あぁ、分かった」
うむ、中島助手のガチめな説教を窺うに、どうやら私の認識が間違っていたようである。
今度からは少しだけ東條君に対する態度は改めようではないかっ!
◆
「やっとこの時が来た……っ!」
今日で世界の常識は塗り替えられる。
いや、元の世界へ戻るだけであるとも言えよう……。
「お前ら、準備は良いかっ!?」
「おうっ!!」
「早くあの勘違いしてのさばっている女どもをボコボコにしてやりたくてうずうずしっぱなしだぜっ!!」
「くそったれた魔術師様たちが泣き叫ぶ姿が目に浮かぶようだっ!!」
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