第10話 殺してやりたい


 それは即ち、国を他国からの侵略から守るのは勿論、人里に現れたスレットを駆除するのには魔術師の力が必要であり、それは魔術師の育成にも力を入れなければならないという事でもある。


 そして女性の魔力保有量は男性に比べて数十倍から数百倍多く保有している事が既に証明されている為、魔術師育成を主体としてカリキュラムを組んでいる学校及び専門学校などは基本的に女子高が多い。


 というよりも共学であるのが我が校である東京魔術大学附属魔術技術高等学園のみであり、そして男子生徒は毎年一名から五名程度入って来ては卒業時には全員退学している。


 であれば初めから男性を取るなと言いたいし、共学ではなく女子高にしろと言いたい。


 そもそも守られているだけでのほほんと生き、未だに古臭い男尊女卑の考えを持っているオッサン共に至っては上から偉そうに女ってだけで突っかかってくる輩もいる始末である。


 そして何よりも、第二次成長期が訪れるまでは男女の魔力保有量は変わらず、しかも媒体を保有できる年齢が十五歳を超えてからでなければならないと国の法律で定められているのである。

 

 それは、言い換えると十五歳までは筋力に勝っている男性が調子にのって偉そうな態度を取って来るという事でもある。


 まだ偉そうな態度だけであれば良いのだが、暴力を行使して無理やり女性を従わせようとしてきたり、中には強姦をしようとするものまでいるのである。


 それは同世代に限った話だけではなく大人になった男性が日々のストレスの捌け口として十五歳以下の女性を狙った犯行も跡を絶たない。


 この事からも男性という生き物が魔力保有量だけではなく知能面でも女性と比べて劣っているという何よりもの証拠であろう。


 そしてそんな下等生物たる男性が何で魔術師育成に力を入れている当学校に入学して来るのか、そして男性も入学可能といえどもどうして自ら入学を諦めるという決断ができないのか。

 

 何よりも、男性の中でもそんな簡単な事が理解できないような頭の悪さである汚らわしい下等生物が同じクラスに男性がいるのだからたまったものではない。


 名前すら言いたくない下等生物が視界に入って来るたびに私の心の中にドロっとした感情が出てきてしまう。


 いっそのこと日本国から渡された私専用の魔術行使用媒体:白菊一式で殺してやりたいと何度思った事か。


 そして私は修練場の的に向かって腰に下げている銃型の魔術行使用媒体を行使し一発だけ撃ち、氷の華に埋もれていく的を確認して、修練場から出ていくのであった。

 

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