第9話 魔獣


 そもそも私はこの学園に男性が入学できる事自体を納得していない。


 今から約百年前、世界は今までにない敵と遭遇した。


 それが魔獣というモノたちであるのだが、基本的には普通の動物たちとは変わらず無暗に近づかなければ人に危害を加えるというような事は無かったのだが、その魔獣という生物がいったいどこから現れたのか分からず、そして基本的に飲食をしていないにも関わらず生きているという事など分からない事が数多にあった。


 そして飲食をせずに生きていける理由が分かったのが、今から約九十年前。


 様々な魔獣を捕まえていろいろ調べていた施設内にいた職員が魔獣たちに殺されたのである。


 特に魔獣たちは女性を好んで殺しており、その理由は人体にある魔力を吸い取っていたからであり男性よりも女性の方が魔力保有量が多い事に魔獣たちは本能的に気付いていたのであろう。


 そしてその後の研究により魔獣たちは基本的に空気中に含まれている魔素を糧にして生きている為飲食を必要としていなかった事と、ある一定の量の魔素を体内に取り入れると進化をし、その場合魔獣たちは空気中の魔素だけでは足りなくなって人の身体の中にある魔力から足りない分を補充しはじめたのである。


 その事件により魔獣たちは、一定量の魔素を体内に取り込むと例外なく進化するという事も分かった為全ての魔獣たちを駆除対象にした。


 しかし魔獣たちは今まで人間が使ってきた武器が効きづらく、むしろ攻撃する事によって敵認定され反撃されるという結果となった。


 魔獣たちは例え銃で撃とうとも空気中の魔素を取り入れて回復するどころか、負傷する事によって傷を回復させる為に人間を襲い始めたのである。


 この、新たに現れた人類の敵をどう対処するか世界各国で議論されるものの結局有効的な対処法が分からないまま十年が経った。


 その時に日本の科学者である夢幻源十郎博士は魔獣たちが求めている、人体内にある魔力に目を付けて作った武器。


 それが魔術行使用媒体である。


 そして現代、魔獣が進化したものをスレットと呼び、スレットに対応する為に作られた武器である魔術行使用媒体においては銃型、弓型、剣型、槍型だけではなく様々な形状や能力を持つ媒体が作られてきた。


 その結果、国のパワーバランスを決めるのは核ではなく魔術行使用媒体に置き換わった。


 というのもこの魔獣は勿論の事魔術行使用媒体を利用して各国は国自体に防御壁を展開している為、まずこの防御壁を突破できるだけの魔術師が必要であるからである。

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