第457話 せ、せせせせせせせ

そこに有ったのは金と白の美しい装飾が施された、まるで宝石の様な刀身をした一振りの剣がそこにはあった。


こ、これはまさか、あの………。


「そうでございます。フランお嬢様が思っております通りこちら、聖剣でございます」


あぁぁあっ!!やっぱりっ!!これで聖剣でなければ何が聖剣というのかっ!!先ほどの失態で萎みかけていた厨二心がくすぐられ、再度わたくしの胸に再燃致しましてよっ!!


そしてセバスはその聖剣をシューベルトへと渡すと、聖剣を渡されたシューベルトは『はっ!!』という掛け声と共に聖剣を根元からぽっきりと折ってしまった。


「な、なぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!せ、せせせせせせせ、聖剣でしたのよねっ!?」

「左様でございます、我が主フラン様。しかしながらこの剣は聖剣であって聖剣であらず。聖剣というのはあくまでもダミーの用途であり、本来の役割はこの箱を空ける鍵でございます。そしてこの鍵を出すには聖剣を根元から折るしかないのですが、誰が聖剣を折らなければ鍵が出てこないと思うでしょうか?」


そしてシューベルトはまるで自慢するかのように何故聖剣を折ったのかを語る。


それはまるで謎解きが分からないという者へその答えを自慢げに教えるが如く、シューベルトは気分が良さそうな表情をしている。


「ではこの箱を開けさせて頂きますね」


そしてわたくしの複雑な気持ち等どうでも良いとばかりに置いて行かれ、次の工程、鍵穴と鍵が揃ったら開けるでしょう?と言わんばかりに四角い、某アニメに出て来そうな石の箱を開け始める。


そして部屋の中を鍵が開く時の音がガチャリと響く。


「もう何百年と前に作られたものですから開かない可能性も考えておりましたが、そんな心配もする必要が無かったと言わんばかりに素直に空きましたね。流石聖なるアイテムです。お、中も綺麗な状態でありますね。ささ、我が主よ。早速この聖衣を着てみてくださいっ!!」


箱の中の聖衣は某アニメの様にわたくしの身体を変身するかの如く包むのではなく、自分で一つ一つ装着するようである。


そしてわたくしは別室にて、一つ一つ各種装備を自分の手装着していく度に失ってはいけない何かを確実に失いながら装着してく。


そして全て装着して気付く


これは初代ではなくオメガ、メイン青銅紅一点の装備に非常に酷似しており、ご丁寧に仮面まで用意されていた。


箱は初代で中身はオメガなので販売元へクレームを飛ばして返品したい気分である。

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