第395話 顎までもが外れそう
開いた口が塞がらないとはこの事か。
ノア様の仰った事は俺からすれば正に青天の霹靂。
信じるよりも否定した方が精神的にもよっぽど楽であると言えよう。
「まだ信じれない顔をしているな、だがこれは風嵐の誓いに所属したお前には後でフランの戦闘を記録した映像石があるのでそれを観せよう。ちなみにこの映像は国家機密だからな」
そんな俺の感情を感じ取ったノア様は微笑みながら、フランの戦闘シーンを観せてくれると言うではないか。
しかもたかが貴族の娘の戦闘シーンの映像が国家機密という事にも驚きを隠せない。
「あ、ああ。その映像でもってフランの強さは判断させてもらう。それと、ブラックローズとは何だ?」
「ブラックローズはフランが作ったとされる、フランの奴隷でできた裏の組織だ」
「は?」
「それだけではなく、ブラックローズの戦闘員達は全員、フラン程では無いがここにいる俺たちよりも間違いなく強い」
「………はぁっ?」
またもや開いた口が塞がらない。
それどころか顎までもが外れそうである。
「ここ二年連続で武闘大会団体の部で優勝した『黒い花達』というパーティーがあるのは知っているか」
「知っているも何も他者を寄せ付けない圧倒的強さで今帝都ではファンクラブまでできる程の人気じゃねぇか」
「あの者達もブラックローズの一員だ。しかもあの者達よりも強いメンバーがブラックローズにはいる。むしろブラックローズの戦闘部隊はあのレベルが平均値だ」
もうここまでくると驚きを通り越して呆れてしまう。
「そ、そんな組織を作ってフランは何と戦おうとしているんだよ。国か?」
「それも含めてフランの戦闘の映像を観てもらった方が早いだろう」
そういうや否やノア様は部屋の明かりを消し厚いカーテンで外からの光を遮断すると映像石を取り出してフランの戦闘シーンを再生しだす。
そこには初め見た事も無い巨大な化け物と、それと戦うノア様達が映っていた。
ノア様と他の者達は宮廷魔術師や帝国騎士団団長よりも強いと思える程の連係と攻撃を繰り出して行くのだが、化け物はその猛攻を物ともせず反撃しているのが観える。
そしてこんな化け物をどうやって倒したのか、またフランの戦闘シーンではないのかと思い始めた時、狼の獣人であろう黒い仮面を被った一人の娘が空からノア様の前で降り立つと、次の瞬間には彼女の姿が消え、件の化け物が空中に浮いていた。
そこからは一方的な戦いとなったのだが、件の化け物は再生能力も化け物じみており獣人の娘の攻撃を全て驚異的なスピードで回復して行っているのが分かる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます