第361話 何もねぇ所じゃねぇかよ
そう、今この時期は大遠足時代である。
そして当然の様にわたくしの馬車にはノア様にレオ、シャルロッテさんが乗っているのかと問いただしてやりたい。
あ、もちろんミシェル様とリリアナ様、そして先ほどバカ二人の輪に入れてしまったのだがシャルロッテさん達についてはむしろ大歓迎なのであしからず。
そして当然レンブラント先生の恥ずかしい秘蔵コレクションからまた一つ世に生れ落ちるであろう。
これは既に決定事項でございます為わたくしがどうこう出来ませんわ。残念ながら。
お可哀そうに。助けてあげられたのならば助けたのですけれども、こればっかりはわたくしごときには止める事などできませんわ。
だってわたくしはか弱い乙女ですもの。
しかし、この際班決めはもう諦めている節があるので我慢しよう。
今回最も解せないのは何故『一学年と合同遠足』であるのかという事である。
どうせアルビンの父親が学園へ多額の寄付をしたのでしょう。
その代償として一学年と二学年を合同遠足にする事など容易であろう。
しかし、わたくしは問いたい。
学園長たるもの、多額の寄付金に目がくらみ、簡単に行事変更などを行っても良いのかと。
貴族という生き物は前例を与えてやるとどこまでもつけあがる物ですわ。
金で言う事をきかせようというバカな貴族がこれから出て来てしまうという、馬鹿でも分かるという様な事を何故学園はお許しになったのか。
え?お金ではなくプレゼンをしたと?その内容は領地内に中規模な孤児院を作り、その運営をさせて頂くと?
これでは何だか、合同遠足で駄々をこねているわたくしが悪いみたいではないですかって、なんでこの馬車にアルビンまで乗っておりますのよっ!?ご自分の学年、ご自分のクラスの馬車があるでしょうっ!!
その事も内容には含まれている?ってそんな事知りませんわっ!!
◆
何だかどっと疲れる道中であった。
やっと着いた遠足の目的地は池でも海でもなく古き良き街並みが立ち並ぶ観光都市である。
日本で言うところの京都の様な所である。
そんな趣ある光景にわたくしの心はどことなく弾み───
「たっく、何もねぇ所じゃねぇかよ。つまんなそぐぶへあっ!?」
───観光したいという衝動にかられる。
前世でもこういった古い街並みや古い建物、それこそ神社仏閣巡りなどわたくしの数少ない趣味の一つでもあるのだ。
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