第78話 未確認飛行物体の正体

 自分の国よりも他の国が大事であるのならば戦争というものは起こり得ない。


 だからわたくしはこの国王の心に今以上に圧倒的な恐怖でもって楔を打ち込む。


 わたくしのいう事を聞かないと国ごと貴様を潰しに来ると。


 その事が出来るだけの力があると見せ付けるのだ。


「もう、辞めてくれ……もう許してくれ、お願いだ……うぅっ、もう嫌だ。もう痛いのは嫌だ」

「分かりましたわ。ではルーベルト国王陛下、外を見て頂いても宜しくて?」

「分かったっ! 見るっ! 見るからその扇子をこちらに向けないでくれっ!」


 わたくしの指示により這々の体で国王としての威厳も何もかもをかなぐり捨て涙と鼻水と涎ででぐちゃぐちゃになった顔のままルーベルトはバルコニーまで移動する。


「移動したぞっ! これで良いのかっ!?」

「ではそのまま外をご覧くださいませ」


 そしてわたくしは王国、その王都上空に巨大なプラズマ飛行物体を出現させる。


 ちなみに心霊特集などで良く出るオーブと言われる謎の球体はカメラレンズ付近で舞っているチリ埃だったりする。その為カメラの性能で写る映らないなどが出てしまうのだが。


 そんな話はさておきこれはよく謎の飛行物体として前世のテレビ特集で放送される光る球体未確認飛行物体の正体である。


 その光は凄まじく深夜にも関わらず王都はまるで昼間の様に煌々と照らされ、異変に気付いた人々が家の外へと飛び出してくる姿が見える。


「お、お主……お主は一体……? これは太陽ではないのか?」

「そうですわね、わたくしは秘密結社ブラックローズの創始者でありトップでもあるローズという者ですわ。 そしてもしルーベルト国王陛下が私利私欲に走ったり、わたくしとの約束を破った場合は……あそこに見える太陽をここ王都に落としますわ。ゆめゆめお忘れなく」

「わ、分かりましたっ!! 必ずっ、必ずや貴女様との約束は反故致しませんっ!!」


 プラズマ飛行物体を見た後のルーベルト国王陛下は最初相対した時と違い床に頭を付けまるでわたくしを崇めるかの如き対応にてわたくしとの約束を守ると誓う。


 得体の知れない超常現象を操る存在ほど恐ろしいものは他に無いであろう。


 そして自ら進んで頭を床に付けるルーベルト国王陛下のその姿を見て、ここまで脅せば大丈夫だろうと判断したわたくしはルーベルト国王陛下がいるバルコニーからそのまま飛び去ってしまおうとするのだが鞭だけでは人は服従するがそこに飴を与える事により軽い洗脳状態にし、依存したりマインドコントロールしやすくなるという事を思い出す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る