クォーツアイランドへようこそ!

夢水 四季

第1話  いつものこと

ここはクォーツアイランド。

 大洋に浮かぶ島国だ。

 自然豊かで、四季がある。


 その中央部、城。

「全くルビーは……」

 長い金髪をポニーテールでまとめた女性が、ぷんすか怒っている。

 窓は開け放たれており、そこからルビーが、いつも通り逃げ出したのだ。


「帝王学はつまんないからやーめっ」

 ルビーは木から下りて、街の方へ向かう。



「小次郎!」

「お前、ビオラさんの授業は? まあ、どうせ抜け出したんだろ」

 二人は幼馴染であった。

「そう、あったりー」

「また怒られるぞ」

「いつものこと、もう聞き飽きたよ。さ、遊びに行こっ! せっかくの休日だよ!」


 商店街を歩けば、皆がルビーに声をかけてくれる。

「ルビー、今日は何処に行くんだい?」

「カラオケ~」

「ルビー、ビオラさん元気?」

「もう元気元気」

 

ルビー・クォーツ

クォーツアイランドの姫。


姫ではあるが、親しげに呼び捨てされている。

島の皆は家族、そんな感覚だった。



「待ってたにゃん」

 ピンク髪に猫耳を生やした少女がカラオケ店で待っていた。

彼女の名前はチェシャ。

にんまりと笑っている。

ルビーが大好きなのだ。

「チェシャー、おまたせ」

「皆、待ってるにゃん」

「さあ、歌うぞ~!」

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