第2話 少し前
「もしもし」
「はい。誰だ?」
「翔真!俺だよ。健一朗だよ。
今日17時にお前ん家集合でいいんだよな?」
「ああ、いいぞ。ちゃんと食材を持ってこいよ!」
「分かってるよ!それじゃあ、17時に遼太と一緒と行くからよろしくな!」
「あいよ。」
田口翔真(僕)と野口遼太、佐藤健一朗の3人は同じ高校から同じ大学に今年入学した仲良し3人組である。
荷物整理を終えて人を家に呼べるぐらいには部屋が片付いたので、少し遅くなったが、今日仲良し3人組で集まって高校卒業祝い兼大学入学祝いをするために僕が下宿しているアパートに集まる予定である。
なぜ僕の下宿しているアパートに集まることになっているかというと僕が借りている部屋が他の2人の部屋と比べて明らかに広く、調理器具そろっているからである。
3人の中で借りている部屋が一番広い理由は簡単で大学近くの1人暮らし用のアパートは僕がこの大学に入学することを決めて探し始めた頃には全て満室であり、少し離れた場所にはあったのだけれど自転車で片道1時間近くかかるため諦めて近くで住める場所を探した結果、ファミリー向けのアパートしか空いていなかったためである。
自転車で片道1時間かかるなら電車かバスで通学すればいいではないかと思うかたもおられるかもしれないが、バスは1時間から2時間に1本しかなく、電車に関しては大学付近を通っていない。なんでも利用客が少なすぎて採算が取れないからとずいぶん前に廃止になったらしい。なので使えないのである。というわけで僕は1人で大学から自転車で片道30分弱かかる位置にあるファミリー向けのアパートに下宿している。
調理器具がそろっている理由は僕の趣味が料理を作ることであるため、料理を作るのに必要で実家になかったものは誕生日プレゼントで買ってもらったり、お小遣いで買い集めたことと大学入学祝いとして調理器具一式をプレゼントされたためである。
そもそも、料理を作ることが趣味になった理由は、家の教育方針の1つが関係している。教育方針とは栄養バランスがよい料理を1人暮らしを始めるまでに作れるようになることである。そのために2歳頃には遊びの延長線上でおにぎりのような簡単な料理を作り始め、3歳になると母親のサポートのもとバナナのように柔らかいものを包丁を使って切る練習を始める。その後、足踏みが無くても余裕でコンロに届く身長になったら焼く、煮る、茹でるといった火を使う料理をさせてもらえるようになり、身長が150cmを越えた位で揚げ物を作らせてもらえるようになる。その結果、僕は自分が食べたいものを自分で作ることにはまり、料理することが趣味になった。
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