第33話 最後まで責任を
もうすっかり日が暮れて、夜の風が今日の疲れを忘れさせないようにからだの周りを包み込む……ただ、僕の身体は能力のおかげで24時間元気なので、この疲れは精神的なものだろう……
それから20分ぐらいたったのかな? 暗闇の中から一つの大きな車が、災害後のでこぼこ道を無理やり突き進み、こちらに向かってくる。戦車というにはまだ小さいそれは、まるでキレて全速力で追いかけているゾウのように迫力満点だ。その凶暴なゾウの中から男が一人出てきた。
「やあ! トガ君、アオバさん! 仕事お疲れ様です」
「あ、キラさん。仕事はおわったのですか?」
中から現れたのは上司のキラさんだった。顔色はよくなっている。
「ぼく自身の仕事は終わりました。こうして夜に合流して事件解決に協力しようと思ってたんですけどね。まさか、こんなにも早く事件解決するとは……
そしてこの子が、ユイちゃんですか? はじめまして、キラヨシツグと申します」
キラさんはユイちゃんの前に立ち、丁寧にあいさつをした。
「でも、ハツカメの毒の解毒薬が出来たらどうするんですか?」
ぼくはキラさんに思ったことを伝える。
「安心してください。この子は世界樹対策課がちゃんと最後まで面倒見ますよ」
良かった……これなら心配いらないな
最初はアオバに何されるかわからないが今後の生活は大丈夫そうだ。
「ですが、今回は特別ですからね! 対策課もお金ないんですから」
道中僕は車内で眠っていたようだ。いつの間にか世界樹対策課日本支部に付いていた。もうすっかり夜中の時間帯だ。ユイちゃんもぐっすりと眠っている。
「あ~~体痛いわ~ トガ君、よく寝れたわね。結構ガタガタ揺れたのに」
「眠れなかったんですね……まあ、道路はまだちゃんと直せてないですし」
「というより、アオバさんはトガ君に興奮してましたから」
キラさんのこの一言で、僕は恐ろしい想像をしてしまった。また身体の中をいじくられたのか?
「安心して、何もしてないから……じっくりあなたのことを観察していただけだから♡」
安心できるか!
「まあまあ、とりあえず今日は帰って休みましょう。ユイちゃんも早くちゃんとしたベットで寝かせてあげないと」
「そうですね、帰りましょう」
僕はぐっすりと眠っているユイちゃんをおんぶした。
「ねえ、トガ君 疲れたりしないの?」
「どういうことですか?」
「いいえ、なんでもないわ ますますあなたに対して興味が出たわ♡」
「やめてくださいよ……」
ユイちゃんは研究所で検査があるので今日はそこで寝泊まりするらしい。
まあ、ハツカメの毒の事もあるから当然ではある。ただ、アオバ筆頭の変態達が気掛かりだ。
常識人のカラスマ君にあの二人が変なことしないよう伝えておこう。
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