別れ離(か)れ

太陽のような人だった

憧れの人だった

想い人だった


愉快で物知りなあの人は

いつも笑っていた

いつからだろう

あんなに吸い寄せられたのは


楽しい一時を過ごした

「本当に」一瞬だった


だけど僕はシャイだった

そして下手だった

何にも起こせなかった


だから僕らは

いや あの人は

この日々にピリオドを打った


そりゃそうだよな

こんなつまらない人間より

ずっと幸せだろうから


別に何ともなかった

案外さっぱりしていた

やっぱりいつしか

冷たくなっていたんだろう


追うことに夢中で

手中に入れば満足で

狼みたいだ

馬鹿みたいだ


お互いの いやあの人のためだ

始まりのための終わりだ

そうして鍵をかけた

もう掘り起こしはしないはずだと

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