双子の無双物語

ふゆなち

第1話 双子

この世界には、魔法が存在する。

魔法とは練習して習得するのではなく、生まれ持つものである。

種類としては、炎、水、土、風、闇、光、幻、空間魔法、────など色々あるが、基本一つ+思念伝達しか持てない。だが、極稀に、いくつかの魔法を持って生まれることがある。




【ティンティア・ルーリナイト】


私の名はティンティア・ルーリナイト。胡桃色の髪の毛とポニーテールが特徴的な双子の姉だ。

私は炎と土という二つの魔法を持っている。

私みたいに複数の魔法を持って生まれることはあまりないらしい。私にはよく分からない。

ちなみに隣で靴を履いている妹の名はフィリー・ルーリナイト。彼女も複数の魔法を持って生まれた子だ。可愛らしくて愛らしい妹。

「お姉ちゃん。シャツの裾、出てるよ」

私よりオクターブ高い声で私のシャツの裾をスカートの中に入れてくれているフィリー。

かっ可愛い!何から何まで可愛いっっ!

あまりの可愛さに私は硬直し、フィリーに心配されるはめとなってしまった。その心配したような顔も愛おしい。

どうやら私は「シスコン」らしい。「シスコン」とはシスターコンプレックスを略した言葉で、女姉妹に対して強い愛着・執着を持つ状態を意味するという。私にぴったりな言葉だ。

初めて「シスコン」という言葉に出会った私は、それからは自己紹介の時に度々「私はシスコンです!」と言ってフィリーを困らせていた。ごめんね。フィリー。

そして、なんやかんやであっという間に魔法学園に入学する年になった。

見慣れた通学路を歩きながら、「また自己紹介のときにシスコンって言おうかなぁ」などと考える。

「お姉ちゃん」

綺麗な声が私の耳に届いた。

「ん?」

「同じクラスだといいね」

天使のような微笑みを浮かべたフィリー。このままフィリーという天使に連れられ、天国へ行くのかと本気で思った。

こんなにリアルに天国を想像させられるなんて…!フィリーってもしかして幻の魔法も有していたのか?!とあり得ないことすら考えてしまう。

その後、よろよろと夢見心地で歩いていたら電柱にぶつかって、フィリーに呆れたような顔をされてしまった。



【フィリー・ルーリナイト】


私の名前はフィリー・ルーリナイト。双子の妹で、白縹の髪、紫水晶色の目、ツインテールが特徴だ。

私は、極稀に生まれる2つの魔法を持つものだ(思念伝達も含めたら3つだけど)。具体的に言えば、風、光、思念伝達の3つ。それだけでも自慢できるようなことだけど、私は姉のほうがすごいと思う。

姉のティンティアは、運動神経抜群で友達も多くて…時々羨ましく思う。

それに比べて私は、性格が暗くてネガティブなところがあるから…ほら、今だって。もっと、お姉ちゃんみたいにポジティブに生きてみよう。



私達がこれから通う魔法学園に行こうと

靴を履いているとあることに気づいた。

「……お姉ちゃん。シャツの裾、出てるよ」

そう言って、そっと裾をスカートの中にしまってあげた。

これでもお姉ちゃんなの? とたまに思うが、そこがまたお姉ちゃんっぽさが出てて、私はそんなお姉ちゃんも大好き。

だが、そういった私をすごいキラキラした目で見てくるのはやめてほしい。

その後、お姉ちゃんがいつものように私を見たまま硬直していた。いつものことだ、と思いつつ、少し心配した。


お姉ちゃんと一緒に通学路を歩く。

学園に行くまで暇なので、色々とこれからのことを考えてみる。

私は、友達が少ないといったが少ないどころじゃない。同じ学年で心を開いて喋れるのは、お姉ちゃんしかいない。

もっと友達、作んなきゃなぁ。

なんて考えつつお姉ちゃんに話しかけた。すると、「ん?」とお姉ちゃんらしい返事が返ってきた。

私は、心の中で思っていたことをいった。

「同じクラスだといいね」

そう言って私はにこっと微笑んだ。

私、お姉ちゃんだーいすきだもん。絶対同じクラスになりたい。

一人でお姉ちゃんと学校で話してる様子を想像してたら、ガンッと嫌な音がした。音がした方を見てみるとお姉ちゃんが電柱にぶつかっていた。

はぁ…。やっぱ、お姉ちゃんのお世話大変かも。

とか思ってたけど、私は、なんだかんだでこの生活を楽しんでいた。

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