どん底経験者による前向き指南書

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はじめに

 タイトルにどん底と書きましたが、私の経験した苦しみは、多くの人にとっては大したことがないように聞こえると思います。私が人生最大の危機に陥ったのは学生時代のことで、大きな責任がこの肩にかかっているわけではありませんでした。ですから、今責任を背負いながら苦しみと戦っている人たちにとっては、「何がどん底だ」と感じられると思います。そしてそれは正しい感情でもあるでしょう。


 ただ当時狭い世界で生きる私にとっては、それがどん底でした。辛さに他人との比較は必要なく、当人がそう感じるのならば、それは辛さであるのだと私は考えます。だから私はどん底を乗り越えられたと感じていますし、そうして得た学びがあると思っています。それがほんのわずかでも誰かの助けになればいい、と思いながら筆を執っています。


 指南書だなんて仰々しい言葉をつけましたが、私ができることといえば、単に私の経験を記してそれが誰かの助けになることを祈るだけです。大それたことはできませんが、どこかで苦しむ誰かが、私の言葉でほんのちょっとでも救われてほしい。この心からの祈りが、誰かの心に届きますように。そう願ってやみません。


 ここにたどり着いた方は皆、苦しみながら独りで戦って来られたのだと思います。そんなあなたに寄り添いたい。しかしそれほど期待せず、駄目元で読んでみてください。突き放すように聞こえるかもしれませんが、最後にあなたを救えるのはあなただけです。周りの人間ができるのはその手助けだけです。そんな小さな力でも欲してくださるのなら、ありがとうございます、どうぞ先へお進みください。

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