錬金術師は解雇される
@smart-apple
第1話 始まり
何故、王から呼び出されたのだろうか?
やっと完全フルポーションの作成に成功したのに発表を前にして困惑していた。
『お前は配下のセシリア嬢が作成した完全フルポーションの魔法陣を奪ったのは明らかだ。王宮錬金術師長の立ち場がありながら完成が遅れたからと配下の手柄を自分のものにしようとは情けない!王宮の恥だ!この王城だけでなく王都からも出てゆけ!』
『何かの間違いでしょう。私に盗む理由などありません!』
『まだ言うか!衛兵摘み出せ!』
この王様は言い出したら聞かないからなあ。まあ丁度良い潮時かも知れん。私は近付いてきた衛兵に『錬金術師に触れると祟りが起こるぞ!』と脅して自分で王城から出てきた。
想えば10年前に前王宮錬金術師長だった恩師ルーエン・バン・シュトラウスに拾われて、この王城に来たのだった。
恩師は時折周辺の孤児院を訪れて子供たちを鑑定していたのだが、その時『コイツは面白い!』と拾われたのだ。
孤児院は教会に隣接していて孤児たちは教会に魔力を奉納させられていたそれも魔力切れ寸前まで。司祭はこの魔力で傷を癒す事で奉納金を稼いでいた。
行く当てのない孤児たちは飢え死にしない程度の食事を与えられるが死ぬ寸前まで魔力を絞り取られる。そして手に負えない歳になれば魔力枯渇で死に至るまで魔力を吸い取られ病死として葬られる。
どうも魔力とは枯渇寸前まで消費すると魔力の総量が増えるらしいがこれは教会の極秘事項らしい。
恩師は私の魔力の多さに驚き教会から金貨3枚で買い取った。教会も王城関係者に逆らえず引き渡す事を了承した。そう正確には金で買われたのだが自分にとってはいつか消えてゆく年上の孤児とは違う未来から拾ってもらったと思いたかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます