2023/05/16埼玉県某川
うわっ。
俺は川の鉄柵を見て思わず声を上げた。
「えっなになに?!どうしたの急に?」
隣を歩いていたグランヴィルが声をかけてくる。彼女は俺の視線の先を辿り、柵についた看板を見て一瞬ビクッとなり声を上げた。
「うわっ?!」
その看板には河童の絵が描かれていた。やたら怖い河童が。
いや怖いなコレ子供泣くぞ。
「迫力すごすぎるでしょ……もう、びっくりした」
グランヴィルはまじまじと看板を眺めた。大きく赤い字で"このへんはこわいぞ"と書かれたそれは、川に近づく事に対する警告として設置されているのだろう。
「あーなるほど、小さい子とかが川に入ろうとしないようにする為なんだ。いいじゃん効果抜群でしょコレ」
この河童がいる川には絶対入りたくない、近づくのも御免だ。
……でもそうか、この河童は川の平和を守っているんだなぁ。
「顔が怖いだけでいい河童ちゃんだったわけだ。きゅうりでもあげようかな」
持ってねえよきゅうり。
ところで今日なんか暑くない?
「うん、日光がすごい暑い。でもさっき日陰だと風がちょっと冷たい感じもしたよ」
あー、それで汗だくなのに体ちょっと冷えてるのか。
「それは汗のせいでは?」
全く汗が止まらない……。誰も見てないし、いっちょ川にでも入って……。
突然、川が爆ぜた。
何かが水面から飛び出したのだ。巻き上げられた水飛沫が豪雨の如く降り注ぐ中、何かが立っている。
緑色の影。滴り続ける水音。血のように赤い瞳。
河童だッ!!
『ケキョキョキョキョーッ!!』
俺とグランヴィルはダッシュで逃げたが、河童は奇声を上げながら華麗なストライド走法で追いかけてきた。どれだけ逃げても全く距離が離れない。河童すげえ。
で、今まさに追われながらこれを書いてるってワケ⭐︎
「クソ河童!クソ河童!」
『ケケキキキキャキャキョォォォッ!!』
みんな!今の時期は田んぼとかのなんかアレだから川の水量が上がったりしてるかも!だから川に近づいたり、まして入ろうだなんで考えてると、河童に追いかけられちゃうぜ!気をつけよう!
「クソ河童!クソ河童!」
『ケェキキキキキキィ』
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