2023/05/10異音がするスタジオ
ジュー……ジュー……。
{あなたは暗いスタジオにいる。そこには人の気配が無く、どこかからの異音のみが響いている}
{……いや、何か別の音がする。こちらに近づいて来ている}
コッコッコッ……。
ザッザッザッ……。
{2人分の足跡だ。別々の方向から、あなたのいる方へ。徐々に、音が大きくなっていく}
{あなたの前で音が止まった。何かが動く気配を感じる。暗闇に目が慣れてきたあなたは目の前にステージのようなものがあり、壇上に2人組がいるのに気がついた}
{突然、ライトが灯った。眩しさで思わず目を閉じた}
{ あなたはゆっくりと目を開ける。壇上には男女。マイクを持った2人がスポットライトで照らされていた}
祝!連載(昨日の時点で)10回記念特別番組!
「こっちの多分日刊プリコラージュダイアリースーパーショー!!」
わー!
わー!
わー!
{周囲が光に包まれた。あなたはここがショッピングモールによくある吹き抜けの広場だと気がつく。そこにあるステージをあなたは1人で見ていた。周りには自分と壇上の男女以外誰1人としていなかったがら、スピーカーから大人数の歓声が流れ続けている}
どうせ3日で終わると誰もが思っていた、いや誰からも何も思われていなかった日記、昨日10日達成してました!
「昨日は乗り物酔いでそれどころじゃありませんでした!」
{2人は壇上を動き回りながら、オーバーなアクションまじりに話し続ける}
「今日自体は特に書く事なく、また思い出の旅へ連れてってあげちゃおっかな⭐︎そう思っていた頃が私にもありました」
そんなんするくらいなら祝おう!めっちゃ祝おう!な、そうだろお前テメェこのやろー!
{男があなたを指差して吠えたてた}
とにかくパーティー!祝うぞ!昔からの夢、ライスシャワーならぬ油淋鶏シャワーだ!
「5億リットルのタレ、見た事ある?」
埼玉県全土を油淋鶏で飲み込んでやるぜ……それでこそが俺たちの記念碑になるのさ。
{四方八方から揚げ物とお酢の匂いが立ち込める。あなたはさっきの異音が鶏を揚げる音だったと気がついた}
油淋鶏いくぞー!!
「あっご飯炊けてない!!」
えっマジ?!タンマ!油淋鶏タンマ!タン……
{男の言葉は油淋鶏の雪崩に飲み込まれた。女は壇上から逃げようとしてやはり飲み込まれた}
{あなたは天井を見上げる。天井には大きな穴があり、大量の油淋鶏が降り注いでいるのが見える}
{あなたの視界は油淋鶏で埋め尽くされる}
{あなたには油淋鶏に埋もれた}
{あなたは何も見えない}
{あなたは動けない}
{あなたは何も聞こえない}
{あなたは油淋鶏を食べることができた}
{あなたはこの日記を読むことができた}
{あなたはしあわせ}
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