　グランヴィルが上の方をじっと見つめている。そこには車の天井しかないが、俺にはわかる。彼女は上の次元を見ているのだ。たまにあなたと目が合っているぞ気をつけろ。人差し指を目線の先に向けた彼女は聞いてくる。

「↑の章タイトル、伏字どうしたの？」

　はい。

　場所の伏字はね、そもそも初日の日記の検索避けだったわけさ。

「館林美術館？あっここも伏字ない。検索されちゃまずい事って何かあった？」

　君のせいというか何というか……

「えっ私？」

　彼女……グランヴィルはそもそも俺が"美術館でたまたま見かけた女性"を"勝手にモデルにした"キャラクターなのだ。

　その女性が万が一でもこの日記にたどり着いて「あれっコレ私のことじゃ……？」なんてなってみろあまりにも申し訳だろ！

　「日付、髪型、服装、会話の話題まで書いてあるからまぁ万が一辿り着いたらヤバイのはそうだね……」

　ともかくその女性の迷惑にならん為の検索避け伏字だったのさ。

「じゃあなんでやめたの」

　5日間日記書いて2PVだ。バレへんバレへん。

「悲しみ……」

　さて、なぜ延々どうでもいい話したかというと、今日特に書く事ないからです。

「夜の21時、車で出かけてみたものの、特に何もなく。今はセブンイレブンの駐車場に車を停めて、著者っちはこの日記書いているわけですな」

　今更だけど、日記って何書くんだ？いつも通りすぎて書くほどのことがみつからないんだが？

「はいあともう一つ。この日記、シュルレアリスムやろうぜで始まったの覚えてますか？できてませんよね？」

　グワーッ！！気にしてた事グワーッ！！

　目指してます！シュルレアリスムは目指してます！ただ一朝一夕でできないのはご理解いただきたい！これから芸術の頂ちょっとっつ登ってくんで！

　応援してね！！

「ちなみに今日は何があったの？」

　えっと……朝食に賞味期限切れのローストチキン食べたり。

　仕事が滅茶苦茶ヒマだったり。

　車にガソリン入れた時に店員さんに貰ったクリアファイルとチラシを車の上に置いといたまま忘れて発進して数時間気がつかなかったり。

　あれっ書きながら思い出すとちょっとあったなイベント。

「今からでも伏字のくだり消してソレ書いとけば良いと思うの私」

　図らずも日記要素埋まったな……まぁこういうのも味だから……。

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