第14話 彼女の背負ったあまりに大きなもの
「んだど!? 今この女、シ〈
「おうよガドフ、俺も確かに聞いたぜ……年も若くて女だし、てっきり下っ端かと」
「〈
「あっぶね〜とんでもねえ女に手を出すとこだったど」
――あっぶね〜、じゃねぇだろ。さっき奇怪な生物で突進かまして踏み潰そうとしてたお前らはとっくにアウトだろうが。バカなのか?
「さっきは踏み潰すとか言ったけど、本当はすんでの所で止めてビビらすだけのつもりでよかったぜ! な! な! ルディン!」
「ええ本当に。実は私は風香さんを一目見た時から、あっ、この人はきっと高貴な身分であろうな、と察していました。ほら見て、目が輝いている。まぁどちらにせよ、レディを傷付けるつもりなんて無かったです」
「んだんだ、ぶつかっちゃったのも、ブレーキとアクセルを踏み間違えちゃっただけなんだど。悪気はなかったんだど」
自動車みたいな言い訳すんじゃねぇよ。神獣様じゃなかったのかよ。
それとエルフ。お前に至ってはさっき、どうせ庶民の女です。踏み潰しましょうってしたり顔で言ってただろうが、すごい悪い言葉使ったから脳裏に焼き付いてるぞ。なに全部無かった事にしようとしてんだ。
風香ちゃんはそんなマンモス三人衆に一度剣先を向けると、キッと睨みを効かせた。
「白狼を
「ええええー!!! なんでなんだよこのアマ! 俺たち何にもしてねぇだろ!」
「くっ……
「完全に潰して証拠
変わり身が早えよ。と思ったが、それはさておき、私は風香ちゃんの真っ直ぐな眼差しに思うところがあった。
「
「風ちゃんって呼ぶな」
「〈
「……く」
「どうして私の懸賞金を独り占めしようとするの? ……どうしても、お金が必要な理由でもあるの?」
「……」
「じゃなきゃ女の子がこんな危険な事、たった一人でするわけないもん。教えてよ風ちゃん」
一度視線を外していった風香ちゃんは、何か言いにくそうにしながら口ごもると、やがてキラリと光る正義の眼光を上げた。その体はひどく傷付き、それでも
そうと思い至った私は思わず涙ぐみ、内股になって服の袖を噛んでいた。
――きっと、難病の家族の治療費とか。貧しい子供のために学校を立てたいだとか、きっとこの子は、大きなものを背負っているんだ。
「私は背負ってるんだ」
風香ちゃんは話し始めた。
「沢山の人に借りて……もう返しきれないんだ」
鬼気迫る様相は、まさに――――正義!
「私には、
「え……」
「うわぁああああああああんっ!!」
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