EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)13
クライングフリーマン
府議会議員脅迫事件
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。
大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。
足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。
河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。
小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。
中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。
海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。
来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。 EITOエンジェルス班長
愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。通信担当。
白井紀子・・・EITO大阪支部メンバー。資材・事務担当。
芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。
芦屋三美(みつみ)・・・芦屋財閥総帥。総合商社芦屋会長。EITO大阪支部のスポンサー。総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。
南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。
幸田所員・・・南部興信所所員。総子のことを「お嬢」と呼ぶ。
花菱所員・・・南部興信所所員。元大阪府警刑事。皆に「花ヤン」と呼ばれている。
倉持所員・・・南部興信所所員。
横山鞭撻警部補・・・大阪府警の刑事。皆に「横ヤン」と呼ばれている。
友田知子・・・南部家の家政婦。
小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。
真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からの出向。オスプレイまたはホバーバイクの操縦士。本部と支部の連絡便としてもオスプレイを操縦する。
片岡さつき・・・大阪府議会議員。挙産党所属。
= EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =
==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==
午前11時。藤島病院。リハビリ室。
理学療法士秋野が、芦屋一美にリハビリを施している。
30分後。廊下で待機していた、大前と総子の前に一美が現れた。
「相変わらず仲のいい『きょうだい』ねえ。今日から、リハビリなの。時間がかかるかも知れないけど、待っててね、コマンダー、チーフ。」
「うん。一美ネエも焦らんとな。じっくりリハビリしてや。」総子は一美の頬を撫でて言った。
「一美、スッピンでも美人やなあ。」
「私を口説いたら、高くつくわよ・・・大前さん、こんな私で良かったら、結婚を前提にお付き合いして下さい。」
頭を下げた一美に何かを言おうとした時、ピコっという音がした。
また、ピコピコっと・・・。大前は目が覚めた。ここは作戦室だ。昨夜、書類を書いていて、徹夜になってしまった、大前だった。
「兄ちゃん、まだお昼でっせ。涎垂らして、エッチな夢でも見てたんか?」と、ピコピコハンマーを肩に乗せて見下ろす総子が、大前の目の前にいた。
紀子がハンカチを出して、大前に渡した。
ハンカチで口元を拭った大前は、「紀子、これ、誰のん?」と紀子に尋ねた。
「支給品。コマンダーのんですね。洗っておきますか?」「すまんな。」
紀子にハンカチを渡そうとする大前に、また総子の鉄槌、いや、ピコピコハンマーが下った。
「痛い、何すんねん!」「ハンカチくらい自分で洗いなさい!紀ちゃんは、あんたの嫁とちゃう。」「はいはい。」
アラームが鳴った。いずみが操作をして、ディスプレイに小柳警視正が現れた。
「新喜劇は終ったかな?」「今、終ったところです。」
いずみは、真顔で応えた。
「この前の、人形誘拐した半グレだが、手下が芦屋一美警部を襲撃した、直接の犯人らしい。闇サイトの募集で応募して、煽り運転するだけだったが、結局事故になった、と自供を始めている。つまり、危険運転ではあっても、殺人未遂ではない、と。」
「やはり、闇頭巾は、警告の為に、一美を襲ったってことですか。あれ?人形誘拐は半グレって、おっしゃいませんでした?」
「だから、手下の一人が闇頭巾の残党。つまり、やはり『えだは会』が絡んでいた。しかも、その男は、南部興信所に女房が浮気調査を依頼していた。」
「それが、幸田所員が襲われた理由ですか?」「うん。さっき確認したよ。幸田君に調査ファイルを提出して貰った。」「繋がりましたね。」「うん。以上だ。あ、待ってくれ。真壁に代わる。」
「コマンダー。挙産党の片岡さつき議員からSPの依頼が来ています。EITOの電話番号しらないからって。」
「片岡言うたら、昨日、大阪府知事と東京都知事は値打ちが違うって言ってた人やろ?」
「この間、靴屋が襲われた時、コマンダーとチーフで護衛したでしょ。EITOは要人警護することもある、って聞いている。今夜、私たちを守らないといけないって。脅迫状持って来ました。新聞の切り抜きで作られた脅迫状。今夜、統一地方選挙の府議会議員全員再選を祝う会を開催するそうです。」
「どうする?大前君。一応警察からも応援は出すが。と言っても、多くは無いが。」
「いいですよ、警視正。兄ちゃん。ぎんのチームだけ連れて行くわ。ジュンらは待機させといて。いつ新しい事件が起こるか分からんから。」総子は即答した。
総子がメンバーに連絡を入れていると、大前は、「いずみ、新喜劇って、何や?」と尋ねた。
いずみは、知らん顔をしていた。
紀子は、クスクス笑いながら。備蓄倉庫に行き、戻って来て、総子に手渡した。
「総ちゃん、これ、本部の大蔵さんから来てたよ。」
「ありがとう、紀ちゃん。」総子が開封すると、妙なモノが出てきた。
総子が、以前使っていたメダルに似ているメダルだった。
「何やそれ?」「試作品やな。メダルカッター!!」
「メダルカッター?」大前が驚いていると、総子はメダルの中央部を強く押した。
すると、メダルの側面から、3つの刃が飛び出た。扇風機の三枚ばねのような形をしている。
「シューターとは違い、相手を傷つけることが出来る、カッター。ウチが考案して、本部に申請してた奴や。銃や刀はアカンけど、擦り傷付ける位やったら、シューターでもええってことは、こういうのもありかな?と思ったの。」
「ふうん・・・って、お前、勝手に申請・・・。」
大前の前には、昨夜読んでいた書類の束があった。無断で申請したのでなく、総子と大前の連名の申請書だった。
「顔、洗って来よう。紀子。ドリンク剤あったかな?眠気だましの?」
「コマンダー。眠気覚まし、ならありますよ。冷蔵庫の上に。」
午後0時半。南部興信所。
皆で、ざるそばを食べている。「そんなら、幸田先輩と一美警部を襲った犯人は、はっきりした訳ですね。」と、倉持が言った。
「しかし、所長。厚かましいオバハンらですな。大阪府知事より偉いって思ってけつかる。」花菱が言うと、「うん。狂言臭いけどな。今の幹のブラックスニーカーはNew tubeでメッセージを送るらしいやないか。今時、新聞の切り抜きって、なあ。幸田。」と、南部は幸田に言った。
「まあ、すぐにバレますわ、狂言やったら。ほっといたら、またオバハンらは、人の命を何やと思うてるって騒ぐややろうし。」と、幸田は言った。
午後6時。難波公会堂。挙産党の後援会。
3人は、後援会会員に選挙の報告をしていた。
午後7時半。夕食が配られた。
拳銃を持った男達が現れた。「夕飯は、あの世でたっぷり食べな。」
リーダーの言った言葉に、「それは、お前らの方やなあ。」と、EITOエンジェル姿の総子は言った。
EITOエンジェルスが現れると同時に、真壁と横ヤンこと横山刑事、それに南部興信所の所員達が、素早く後援会会員と議員達を非難誘導し始めた。
「お前ら、状況が分かってんのか?こっちは拳銃やぞ。」「またまた-。モデルガンやろ?百均か?」総子は、わざとからかった。
男達は、一斉に総子に拳銃を向けた。
その時、引き返した二美が舞台袖から、メダルガトリング砲で男達目がけて撃った。
男達は驚いた。メダルが跳んできたことも驚いたが、ミニのタイトスカートを少し上げ、片膝立ちで撃って来たからだ。
男達は、二美に銃を向ける者とEITOエンジェルスに向かう者とに分かれたが、一人だけ、逃げる途中の片岡に向かった男がいた。EITOエンジェルスは、ペッパーガンと水流ガンを使って迎撃し始めたが、間に合わない、総子は、咄嗟にメダルカッターをその男目がけて放った。
メダルカッターは、男の頬と耳を掠めて、壁に激突し、落ちた。
ペッパーガンとは、胡椒等を原料にした丸薬を放つ銃で、水流ガンとは、圧縮した水を放つ銃である。放たれるとグミ状になる。どちらも動きをけん制する銃だ。
片岡は、メダルカッターを拾って逃げた。
EITOエンジェルスは、バトルスティックで本格的に敵に対峙した。二美は、退却した。メダルガトリング砲も試作品で、形状は、以前総子が持っていたメダルに似せて作成。量産は出来るが、カートリッジを沢山作る余裕が無かった。
二美は、横山達の誘導で外に出ていく片岡達を見送った後、EITO大阪支部に連絡した。
いずみの声がした。「IR大阪駅と地下鉄梅田駅の通路で暴徒が暴れ出し、コマンダーが、ジュンチームを引き連れて、向かいました。今、戦闘中とのことです。」
「今回はキタか。」二美は、急いで車に戻り、EITOエンジェルのユニフォームを持って、公衆トイレに入った。
EITOエンジェルのユニフォームに着替えた後、トイレを出ようとすると、女性がレイプされかかっていた。
二美は、男に金蹴りをした。男性の最大の弱点は股間と喉元で、どちらも鍛え難いと、二美は聞いたことがあった。
二美は、女性を逃がし、警察に通報するよう指示し、DDバッジを押した。
DDバッジとは、緊急連絡用の、一方通行の音波信号を送るバッジであり、受信したEITOは、警察と連携して、位置情報を伝達する。信号にはIDが含まれており、誰が押したかすぐに判別出来るようになっている。
程なく、交番から来たらしい巡査が現れた。「後はお願いします。」二美は、押さえつけていた男を巡査に託し、会場に走って行った。
巡査は二美に敬礼をし、見送ったが、ニヤリと笑い、拳銃を手にして、へたり込んでいる男に向かった。
二美が会場に向かうと、シンと静かだった。いや、あちこちで呻いている声がする。
総子がDDバッジを押したのだろう。警官隊が駆けつけた。
「もう、出番なしか。」横山警部補がやって来て、呟いた二美に「出番って何?」と尋ねた。
静かになった、会場には、散乱した弁当があった。
「掃除、大変やな。にしても二美ネエ。パンチラ攻撃では、拳銃も撃てんで。今度からユニフォーム変えて、ペッパーガン撃つ前にパンチラ攻撃するかなあ。」と、総子は二美をからかった。
「総子。大きな声で言えないけど、『見せパン』よ。」「大きな声やから、すぐに脳裏に叩き込みましたで。ジジイは耳ええから。」とニヤリと笑った横山が言った。
「横ヤン、興奮した?やっぱり正式な攻撃方法にするかな?」と、二美は笑った。
皆も釣られて笑った。
二美は、再度支部に電話を入れ、直帰しろという大前の指示を皆に伝えた。
馬場が迎えに来た。
二美は、トイレの一件をすっかり忘れていた。
―完―
EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)13 クライングフリーマン @dansan01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
そこに私は居ません/クライングフリーマン
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます