第415話 季節ダンジョン 11階
『10階でもー足りませんでしたー』
やって来たマリモちゃんは不満げに言ったが、俺的には体を小さくして飛べばと思うんだよね。
まぁ、小さくなってるのも窮屈なんだろう、たぶん、きっと。
11階に移動すると、草原が藪に変化してた。夏の河川敷の草ボーボーのやつだ。人間より背の高い、イネ科の鋭い葉っぱがビシバシ当たるような藪。
申し訳程度の獣道しかないが、目指すは山なので余程背が低い人間でない限り迷子にはならないだろう。
「うーにゃ!」
ウォータージェット!
知ってるか?高圧洗浄機で草刈り出来るんだぜ?まぁ、切れなくても水の勢いで薙ぎ倒されるから問題ない。
「キュー」
飛んでけばいいのに。とヤクシは言うが、どこに何が潜んでるかわからない藪の中を進むとかやりたくない。
さっきダーツツキが突撃してきたのを忘れてないのだ。藪の上を飛んでて下から何か突っ込んで来たらどうするのだ。
……俺の場合は魔力板で相手が勝手に自爆するかもしれないが、びっくりはするだろ?びっくりしたら俺が本能的に暴れちゃうかもだろ?
だったら初めから藪を薙ぎ倒していけば、そういう問題もなくていいのだ。
そういうことを説明すれば、なんとなく納得はしてくれた。
「因みに藪の中に魔石とか落ちてたぞ」
説明してる間に集めてくれていたようだがグレイが持ってるドロップアイテムは手持ち花火だった。
「にゃ?」
今まで雑魚敵も季節ものドロップだった?
「季節ものの時も有れば、そうじゃない時もあるような感じだった」
……もしかして、ダンジョンさん的には一般的な通常ドロップはハズレで季節ものアイテムがアタリのつもりなのではなかろうか?
魔石のみ、魔石と通常ドロップ、魔石と季節ものドロップみたいな?
どういう確率バランスでアイテムが落ちるかわからないが、たぶん通常ドロップの方が喜ばれてそうでは?ダンジョンさん的には季節ものを押し出してるから季節ものアイテムばかり出てるんだろうけど、それを普通に考えると通常ドロップがレアドロップ扱いになるんだろうなぁ。
「にゃ、うにゃー」
まぁ、いいや。山行こう。
というわけで、登山!
木から木へとホップステップジャンプである。俺は今、世の中のどの猫よりもアクロバティック!
ただ、2m級のカブトムシは許さんからなぁ!木は普通サイズなのに2m級のカブトムシが張り付いてるとか思わんだろ!?
思わず普通の猫パンチしちゃって、思ったよりも簡単に剥がされたカブトムシが地面に引っくり返ってしまったのだ。
それがまぁ気持ち悪い。ウゴウゴする昆虫の裏側って何であんな気持ち悪いんだろ?
仕方無いのでロックアローで突き刺して倒しておいた。
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