第170話 僕には無理だよ


学校から帰ってきたご主人だったが、久々の学校だったからか、お疲れのご様子。



「学校でさぁ、途中入学でピーちゃん他数名の獣人が紹介されてね……一応、探索者教育の授業だけ詰め込みで教えるために教室とかは別だし、僕らの授業にはあまり関係は無いんだけど、昼休みにねぇ…」



ため息をついたご主人は、俺を撫で回している。


ご主人、猫は捏ねるものじゃないんだぞ?コネコネして丸く形成しても猫は猫なんだぞ?


「まさか奴等、颯人様に迷惑をかけているのか?」


ヤクシとマリモちゃんはドラゴン種だから普通のテイムモンスターよりダンジョンからインプットされてる情報が多いので、獣人たちの情報との比較として協力していた。


グレイは2匹をギルドに連れていく係だったけど、俺やご主人に迷惑かけんなよ!と教育してきたらしい。


だから、ご主人の話を聞いて、また教え込まないと……って呟いてる。


え?俺はその間どうしてたかって?


虫はレベルアップ出来るのかなぁって自由研究してた!都会に珍しいカブト虫が庭に落ちてたから、小ダンジョンに連れてったんだ。


まぁ、結果として虫はレベルアップはするけど魔苔にしか勝てないし魔石の吸収も出来ない。


魔苔でレベルアップしても魔石を取り込めないから魔虫に進化しないし、水餅なスライムに取り込まれて死んでしまうのだ。


まぁ、虫が進化しなくて良かった。


因みに自由研究だからレポートにまとめてグレイから獣人担当の役所の人に渡った。


高村だけに投げちゃ高村が可哀想だからな!


グレイ曰く、題名見て血の気が引いた顔色になったけど、結果見て泣いて喜んでたらしい。気持ちはわかる。


「迷惑かけてるというか、拝まれてる」


思考が明後日の方向に行ってたけど、そういえばご主人が学校でお疲れだった話だったな……………なんて?


「にゃ?」


「そう、拝まれてる。ひっそりとだけど流石に気付くよ」


「あぁ、ピーちゃんの飼い主がギルドの治療院に臨時で働いていて、獣人たちの診察時にピーちゃんの山狩りを例に出して、野生の獣人がギルドに来なかった場合の話をしていたからじゃないか?」


「キュー」


ヤクシがそれを聞いて、放送したご主人に感謝したほうが良いよと言ったらしい。



「それはそもそもミロクが教えてくれたからで……」


「颯人様のスキルでなければ野生の動物には理解出来てなかったと思うぞ?」


動物側に言語理解スキルとかがないと呼び掛けようが無いもんな。


俺がにゃーにゃー言うのを放送するのも変だし、俺の鳴き声をすべての動物が理解してくれるのかも不明だ。


ほら、動物って鳴き声だけじゃなくて匂いとか視線とかで会話出来たりするから?やっぱりご主人の解りあえるスキルがベストだったんだ。


「うにゃ」


「拝まれるの嫌ならそう言えば良いって?僕が知らない人にやめてとか言えると思うの?」


「……にゃ」


「だよね!」


ご主人、自信満々に言うことじゃないよ。

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