第83話 謎は解けたが解決はしない
俺の叫びに、マリモちゃんがダンジョンなんてそんなもんだ。って言いおった。
『マリモちゃんはー、特殊進化だからー!ちょっと詳しいのー!』
「うにゃ?」
特殊進化とな?
『普通の魔苔だとー、トレントにしかならないのよー?マリモちゃんかなりレアなのー!』
どういう事かと訊いてみたら、小ダンジョンに生えてる魔苔を一定量以上採取して、魔石の混ぜてある土に植え、回復の水を霧吹きで与えてから植物魔法で成長させてテイムすると確率で自我が目覚める。
自我が目覚めてからも魔石と回復の水を与えて、小ダンジョンで進化させると確率でフォレストドラゴンになるんだって。
確率ってどのくらいか訊いてみたら、雷が直撃するくらい?とか言われた。
『きっとーご主人とマスターは運がとても良いのー』
俺は運が良い自覚は有るけど、ご主人は血縁関係がマイナスだと思う。
『マリモちゃんはー世界樹の友達みたいなー?種族なんだよー!』
え、本当に世界樹あるの?
「にゃー?」
「キュ?」
は?ヤクシが世界樹があるの知らないの?とか言い出したんだけど?
『ドラゴンにはわかるやつー』
そういやヤクシってドラゴンだったな。
『そもそも回復の水が世界樹の雫であるからしてー』
「にゃ!?」
『ダンジョン経由したらー、名前変わるー?説明とか出ないのは仕方なしー?』
な、なるほど?
「うにゃ?」
そもそもダンジョンとは何なのか?
『ダンジョンはー、生き物はよ進化せんかなー?って思った偉い人が設置したお役立ち装置ー?偉い人てきにー、科学が進んだら魔力も発見できるはずなのに中々進まないからーきょーこーしゅだんに出たやつ』
……これ、念話だからカメラに音声のらんのよなぁ。
『だからー世界樹もダンジョンに移動させちゃったからー世界樹ダンジョンがあるのよー?』
「うにゃ!」
わかった!高村に丸投げしよう!
というか、マリモちゃんの言ってる偉い人って神様的なやつだよな?あれ?俺ってもしかして神様的なやつに小ダンジョンを広めるために転生させられた?
だから猫なのか?
「うにゃ?」
俺が猫なのは偉い人がそうしたのか訊いてみたら…
『えーと?魂は偉い人の管轄外かなー?猫に生まれたのはマスターが猫だからでしょー?』
マリモちゃんは転生系を嗜んではなかったらしい。まぁ、マリモちゃんの言ってること信じるなら俺は普通に猫に生まれ変わっただけなんだろう。
陰謀論とか無かったのだ!恥ずかしい!
思わず顔を隠してると、ヤクシがそろそろ帰ろうと言ってきた。
マリモちゃんに促されて宝箱を開けたら、宝箱の大きさにはあわない長さの剣が出てきた。
ご主人にあげて良いらしいので、ご主人のお土産にする。
ちゃっちゃと家に帰ったら、マリモちゃんは鉢植えの上に丸くなり、魔苔状態になった。
マリモちゃんのスキルにあった擬態ってこれかぁ。
「にゃあ」
これならご主人も悲しまないな。
『マリモちゃんはー植物成分多めだからぁ!鉢植えが落ち着くしーじっとしてるのが好きなのー』
だから、ダンジョンに行く時以外は魔苔として過ごすらしい。
たまの魔石と回復の水があれば大満足らしい。
とりあえず動かないなら良いやと思って、俺はマリモちゃんに聞いた話を高村に送っといた。
高村、ダンジョンの謎を知りたがってたから、喜ぶだろうな!(確信犯)
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