第77話 ダンジョンは命懸け


大豆獲りに来ただけなのに馬鹿な5人組のせいで枝豆太郎が大爆発しちゃってヤレヤレしてるタンクのオジさん。


「キュー?」


『アイツらどうなった?』


「あー…駄目だったな」


こう、ちっちゃいやつに細かく説明すんの嫌な気分だな!周り見た感じ5人組以外に人は居なさそうだったから被害は5人組しか確認できてないけど。


猫が何故かビックリ顔してるんだが?


『ダンジョンで死亡とかニュース聞かないからビックリ』


「いや、普通はそうそう死なないようになってんだよ。ダンジョンの情報はギルドホームページに載ってるんだし、ダンジョンに入るなら下調べしてから入れって学校でうるさい位に言われるし、試験にも出る」



何なら学校のダンジョン研修は実習に行く前に情報収集能力を試す目的でレポート提出させられるんだぞ?


しかも行く予定のダンジョンの他に最低でも5ヶ所分は書かされる。


内容が薄いとやり直しさせられるしな。


『ミロク試験受けてない』


はわわっとしてる猫とかレアなもん見ちゃった。


「副ギルド長が映像見て大丈夫って判断したんだろ?ギルドホームページでダンジョンについて調べたり、モンスター図鑑読んだりしなかったか?」


『した!それで良いのか?』


「下調べさえちゃんとやれば大丈夫だ」


まぁ、その下調べさえしなかった猫以下な5人組がアイツらなんだけどな。


「たまに居るんだよな、無駄にダンジョン探索を軽くみて死ぬやつ……死なないのも居るけど」


枝豆食べたいとか言ってカセットコンロで鍋に湯を沸かして枝豆太郎から直接もぎろうとしたけど採取も無しにもぎれるもんでもないから普通に失敗して、しかも鍋が蔓の届く範囲にあったせいで蔓に火が着いて大爆発おこした馬鹿。


しかも本人は防御系ユニーク持ちで全くの無傷っていう馬鹿。


当時の相棒は副ギルド長だったけど、嫌な予感がするって1階に居た奴等を2階に移動させてたから、被害は無しだった。


この話聞いた時は相棒止めろよ!?って思ったけど、偶然ダンジョンで一緒になった本人を見て、無理だなって思った。


『なんかおっさんのやらかしな気がすりゅ』


おっさん?………あ!


「そういや飼い主ってあれの甥っ子か」


可哀想だな。いや失礼なこと思ってしまった。いやでも俺ならあいつが親戚とかやだしなぁ。


「まぁ、一部を除いて下調べが大事だからな、ちゃんとやれよ?」


「にゃ!」


「キュー!」


こんな感じで世間話してたらギルド職員が来て、俺は事情聴取でギルドへ、猫は動画があるからそのまま帰宅となった。


ギルド職員はダンジョンに吸収される前に遺体を回収、追加で来た数名の職員は枝豆太郎がリポップする前に大爆発で散らばった大豆と魔石の回収だ。


久しくなかったダンジョンでの死亡報告にニュースとかで騒ぐんだろうなぁと今から憂鬱だ。


団体としてはちっさいけど反ダンジョン派も居るんだよな。


モンスターは出てこないんだからダンジョンなんて危険な場所は封鎖しろ!とか言ってるけどダンジョンを封鎖したせいでモンスター出てきたらどうすんだって話だ。


「てかギルド職員早かったな?」


「……副ギルド長がミロクの配信観てたので」


「ん?ライブ配信してたのか?」


「ギルドと飼い主さんと神木さんはライブ配信観れる設定なんです。それを編集して動画投稿してるんですよ」


若い職員だったが、しっかりしてて好青年だ。


「なので映像として何が起こったかは残ってるんです、事情聴取って言っても簡単にどういう行動を取ったか書面にしてサインが欲しいだけなんですよね」


もう副ギルド長が書面におこして待ってる筈です!って苦笑いしてる職員君。


うん、仕事が早いのは良いことだぞ。俺はドロップした大豆をきな粉にしなきゃならんから早めに帰りたかったんだ。


ギルド職員たちは改札の記録を調べたり、5人組以外の死亡者が居ないか隅々まで探索したりするそうだ。



マジで、お疲れ様です。


本当に、ダンジョンの下調べは確りやって、禁則事項など無いかきちんと確認しような!

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