第73話 ゴブリンリーダー
ご主人がボス部屋前でなにやらスマホを弄っている。
「これでよし、皆さん映像と音声大丈夫ですか?」
ご、ご主人がカメラに向かって話しかけてるってことは!
「今日は試験的にミロクチャンネルでダンジョンでのライブ配信を行いたいと思います、コメントはカメラの付属機能であるホログラムに表示されますが、戦闘中は見れませんのでご了承下さい」
……ご主人?カンペ見ながら棒読みで説明してるけど、それ事前に考えてきたの?
「今回は初級ダンジョンのボス、ゴブリンリーダーに挑みたいと思います。ゴブリンリーダーはゴブリンに毛が生えた程度のやつで仲間を召還しますが雑魚が何匹いても雑魚です……と、ギルド本部の副ギルド長が言ってます」
「にゃ?」
「あ、うん。ライブ配信やりたいって言ったら最初は台本つきが良いですよって考えてくれたんだよ」
なるほど?
「あ!僕はユニークスキルで動物とかの言葉が何となくわかります!今のはミロクが高村が考えたのか?って言ったので答えました」
そして、ご主人はまたカンペを見て説明を始めた。
「パーティーメンバーを紹介します。まずは僕……飼い主です!次は……気品溢れる優雅なお猫様ミロク!えーと、愛嬌たっぷりあざと可愛いフェリードラゴン、ヤクシ!です」
ご主人絶対自分のとことばした!
〔読み方w〕
〔やけっぱち〕
〔飼い主は何て書いてあったのw〕
ほら!コメントも気がついてる!
「さぁ!早速行きましょう!」
〔スルー〕
〔スルーしたww〕
ご主人はそのまま扉を開けた。
部屋の真ん中に…気持ちがっちりめのゴブリン。あれがゴブリンリーダーか!
「にゃ」
「え?ここから?無理じゃない?」
「キュー!」
あ、ヤクシが光の矢をゴブリンに撃った。扉の前から遠距離攻撃できないのか訊いただけだったんだけど。
『グギャ!?』
うーん?当たったけどHP減ってないな?驚いただけっぽい。
「うにゃにゃ」
「当たったけどHP減ってないの?驚いただけかぁ」
「キュ」
楽は出来ない仕様らしい。
というわけで……
「うにゃぁぁん!」
「あ、お邪魔します」
「キュー!」
中に入って挨拶も終わった。
『グギャァァッ!』
叫んだゴブリンリーダーの足元に魔法陣が現れて、そこからわらわらゴブリンが出てきた。
10体かぁ、ネット情報通りなので召還で出てくるゴブリンの数は相手のレベルとかで変動しないようだ。
「えーと、作戦は僕がゴブリンリーダーで他のはミロクとヤクシが倒すんだよね?」
「うにゃ」
「キュ」
ゴブリンたちの準備が出きるまで待ってる俺たちだが別に舐めプじゃなくてダンジョンの仕様だ。
ボス部屋だとボスの召還が終わらないと攻撃が効かないらしい。ゴブリンリーダーだけじゃなくスケルトンリーダーなど取り巻き召還するボスは全部らしい。
ただし、道中出てくるモンスターなら召還中は無防備で即殺できるようだ。
「にゃ」
「あ、終わったね。じゃあ行くよ!」
駆け出したご主人を追い越して、ゴブリン5体の首を引っ掻くでスパン!はい終了。
ヤクシも眉間に魔法を撃ち込んで終了。
ご主人の観戦をするのだ。
〔ヤバw〕
〔レベルが高過ぎたのか〕
〔飼い主観戦してる〕
〔助けはしないのか〕
〔てか飼い主も戦い方安定してない?〕
「うにゃー!」
「キュキュー!」
香箱作って尻尾をゆらゆらして応援。イライラしてるわけじゃなく、手を振ってる感覚で揺らしてる。
まぁ高村がゴブリンに毛が生えた程度って言ってた通り、ご主人はあっさりとゴブリンリーダーを倒した。
訓練相手がおっさんだっただけあって、人型のモンスターに強いんだよなご主人。
「あ、ミロク宝箱だよ」
「にゃ!」
そうだった!ボスだから宝箱があるんだ!
「にゃぁん」
「お宝ヤッホーイって言ってますね」
スタスタとご主人に近づき、まずはご主人に頭突きからのグリグリをしてから宝箱をスンスンする。
何かとりあえず匂い嗅いどかなきゃいけないきがするんだよね、猫として。
「にゃ」
カパッとな。
「あ」
え?開けちゃ駄目だった?
「いや、大丈夫大丈夫。開けて良かったよ?」
ビックリしてご主人見たら慌てて言ったご主人。
「キュー」
ご主人の初の初級ダンジョンでライブ配信なんだから、リスナーに話ながら開けたかったのでは。とヤクシが申しておりまして…
ごめんにゃさい。
前足揃えて額を付ける、土下にゃポーズに移行した。
ご主人は笑って許してくれたがやらかした気分だ。
「そんな落ち込まないで、あ、ポーション入ってたよ」
しかも中身ショボい!
「では、短い時間でしたが今日は終わりです。さようならー」
そう言って配信を切ったご主人に、抱っこされて家に帰って慰めてもらった。
……………あれぇ?何かちがくない?
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