第59話 高村は素敵です


テスト終わりのご主人と一緒にギルドへやって来た。


同級生たちがテストから解き放たれてきゃぴきゃぴしてるなか、ご主人は菓子折り持ってお礼参り。


一応高村に連絡入れてたので、職員に高村の部屋に通された。


「こんにちは、今日はどうしたんですか?」


高村はパソコン作業中だったみたいだが、俺たちが来て手を止めてお茶の準備をしてくれた。


「あの、今回高村さんやギルドの職員さんに叔父さんがご迷惑おかけしたので、これ皆さんに……」


「にゃ」


ご主人は菓子の箱、俺とヤクシで回復の水を出した。


「……気を遣わせてしまったようで、ありがたくいただきますね」


ご主人の気持ちを考えて、高村は受け取ってくれた。


きっと子供だから気にしなくていいとか、色々言いたかったとは思うけど高村は全部のみこんで受け取ってくれたんだな。


これでご主人の気持ちが多少は軽くなればいいけど…


こういうのはやっとけば自己満足だろうがスッキリはするんだよ。たぶん、前世の記憶的にはそうだった。


「あ、退院は3日後ですよ。ついでに呪いと魔虫のダブルミスで探索者免許3ヶ月停止、その間に初心者講習の受け直しとテストを行うことになりました」


「結構重いですね?」


「もし、呪いや魔虫で暴れるような事態になってたら止められる人が少ないですし、被害も大きくなっていた。しかも魔虫も呪いも初回じゃないってところが厳しくなった理由ですね」


「にゃ?」


「テスト悪かったらどうなるのかってミロクが」


「講習からやり直して停止期間も延長します」


なるほど。


「にゃにゃ」


「うん、ミロクの言うとおり。上級だからこそ気を付けないとなんだね」


「まぁ、テストが出来ても実践出来なきゃ意味ないんですけどね」


混ぜっ返してきおったコイツ!?


「……叔父さん、いうこときかない暴走犬みたいなとこありますよねぇ」


確かに!


「キュー?」


辞めさせないのかって?


「うにゃ、にゃにゃにゃぁ」


上級でもトップクラスのおっさんにしか行けない階層とかあるから、辞めさせるってのは無いだろうな。


「うん、実力はあるんだよ叔父さん」


「実力あるやつのうっかりとか笑えないんですけどね」


一応、本当にヤバそうなのは勘で回避してるっぽいけど。


「そういえば颯人君、ミロク君が鑑定報酬はペット可の旅行先探しと旅費が良いって言ってるんですが、全てを旅費にあてますか?」


「え?いくらになるんですか?」


「50万円ほど」


「にゃ!?」


そんなにあるの!?


「ペット可に限定して探すと幾つかあるんですけど、だいたいが犬やテイムモンスター想定でキャンプ場っぽいとこなんです」


そう言って、高村はパソコンの画面を見せてきた。


お前、仕事してるかと思いきや旅行先探ししてたんか!いや、これも仕事のうちなのか?報酬に頼んだから仕事?でも報酬っておっさんが払うのでは?


「だいたい小型ペットと人1人で高いコース選んでも20万くらいなんですよ、その上のところだと金額超えてしまうので、オススメはここです。移動はテイムモンスター可の寝台列車にして小型なので個室予約でだいたい20万、残りは駅からの移動やお土産などに使うのがいいと思うんですよね」


めっちゃ計画たててくれてる!?日程とか時間とか移動手段なんかまで細かく調べてくれてる!


「うわぁ、ありがとうございます!僕旅行したことなくて、こういうのよくわからなかったから助かります!」


あ、そういや中学の旅行系の行事は学校から断られたとか言ってたな。何かあっても対処出来ないからって……


「あぁ、そういえば防御の付与が出来るようになったのは君が高校に入る前くらいでしたね」


「はい、そこは凄く感謝してます」


俺もそういうのは感謝してるけど、尊敬は出来ない。


「では、一応これで神木に話をして、報酬として決まったらタイムラインとチケットなんかをまとめてお渡ししますね」



……つまり、それまでに卵50個鑑定しなきゃなんだな?任せろ!

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