第130話 花子の休日
「うーん……久しぶりの休みだけど……やることがないわね……」
花子の休日。彼女には悲しいほどにやることが無かった。
「アキラさんは召喚獣を鍛えるし、まどかちゃんは凜ちゃんとダンジョンへ行くって言うし……あの人たちは休みもダンジョンの事しか考えてないわね」
すっかりダンジョン中毒のアキラとまどかを呆れる花子。
「よし、時間もあることだし……たまにはライバルダンジョン配信者の動画をチェックでもしようかしら?」
まったく人のことを言えない花子だった。
最近はすっかりトップ冒険者でありトップ配信者になった『アキラちゃんねる』、脅かす存在は少なくなってきたが最新の配信者のチェックは怠らない、プロデューサーの鏡だった。
「ふむふむ。何よコレ? 『ダンジョンで激辛料理食べてみた』!? 『ダンジョンでモンスターと踊ってみた』!? まったく、ふざけた配信者が増えてきたわね……」
流行にすっかりついていけなくなっている25歳の花子だった。
「そうだ! 前から虎石さんや金剛寺さんの現役時代のことを調べてみようと思ったのよね……」
花子はインターネットで伝説のパーティーである彼らのことを調べた。
人類初のレベル50ダンジョンクリアなど、輝かしい記録が書かれていた。
「本当すごいわね……まだダンジョンの事があまり解明されていない時代に……」
パーティーの写真もたくさん出てくる。
「ふふ……店長若い頃は爽やかなのになぁ……虎石さんは相変わらず強そう……あら? この女の人は……?」
金剛寺や虎石と仲良さそうに映る1人の女性。
「どこかで見たことあるような……?
あっ! 前に店長のお店に持って行った、雑誌の切り抜きに写ってた人だ!」
以前、若い頃の店長の写真を見せ、昔話を聞き過ぎて、店長を怒らせてしまったことを思い出す。
「あのときの店長はガチ怒りだったな……誰なのかしら?」
花子は検索を続ける。パーティーのメンバーの名前が出てくる。
「虎石ジュンジ……金剛寺ユウキ……XXXX……XXXX…………
有名な冒険者に並んで出てくる武者小路ナオコという聞いたことのない冒険者。
「あれ?
写真の店長と虎石も20代半ば、20年ほど前に撮られた写真だろう。
「……でも、あのお婆さんは20年前でも結構な年よね? となると、この武者小路ナオコさんはお婆さんの子供……いや、孫?」
武者小路、なかなかいる苗字ではない。きっと親族なのだろう。と、花子は思った。
花子は調べものを続ける。休日はまだ始まったばかりだ。
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