第101話 爽やかイケメン
「は、花子さん大丈夫!?」
「はい……なんとか……」
フラフラになりながら戻ってきた花子。
久しぶりに限界まで魔法を使ったようだ。
「花子姉さん! すごい戦いぶりでしたわ! 最後の炎を空中にバラまいたところなんて痺れましたわ!」
花子の勝利に大興奮のまどか。
「あ、ありがとう、まどかちゃん……ちょっと休ませて……」
花子はその場に座り込む。本当にギリギリの勝利だったのだ。
◇
まどか、花子と連勝した。
「う……この流れ、一次予選と同じだ……」
先ほどの敗北を思い出すアキラ。
「だ、大丈夫ですわ……きっと……」
まどかは弱々しく励ますことしかできない。
そして、いよいよアキラの番号が呼ばれる。
15組目、研修最後の戦いのだった。
「よし……行ってくるよ!」
アキラは気合を入れ、ダンジョンへと向かう。
「アキラちゃんねるさん、頑張ってください! 応援は任せて下さい」
「が、頑張って……ください……」
「は、花子さんは応援をより休んでてくれ……」
◇
闘技場に降り立ったアキラ。
対戦相手はアキラより少し若い、爽やかなイケメンだ。
「う……イケメンだな。気に食わん」
アキラの中で、静かな闘志が燃えていたことをイケメンは知る由もなかった。
「よろしくお願いします」
イケメンはアキラに手を差し、握手を求める。
「あっ……うん……よ、よろしく……」
イケメンを相手に萎縮するアキラ。
(くっ……ムカつくくらい爽やかなイケメンだな! しかも、人間ができてやがる!)
◇
「……アキラちゃんねるさん、なんかダサいですわね……」
「あら? 対戦相手の若い子、イケメンねぇ! 頑張ってほしいわね!」
「花子姉さん……どっちを応援してるんですか……」
イケメンを見て、すっかり体力を回復した花子。
◇
イケメンは剣を携えている。
最終戦は剣士同士の戦いとなった。
「それでは……始め!」
剣を構える睨み合う2人。
イケメンは先ほどの戦いの老人とは違い、基本に忠実なオーソドックスな構え。
装備品はなかなかの良いアイテムを揃えているが、シンプルにまとめてあるTHE冒険者といった雰囲気だ。
「うーん、良い構えだな。隙がない……」
両者にらみ合いが続く。
先に動いたのはアキラだった。
装備品の『神速のシューズ ★★★★☆』の力でアキラは超高速でイケメンに飛びかかる。
「くらえッ!」
イケメン目がけ、剣を振るうアキラ。
「ぐっ、すごいスピードと力だ……!」
トップ冒険者にも引けを取らない装備品のアキラの攻撃を、防ぐだけで精一杯のイケメンだった。
「ふははは! どうしたイケメン?」
アキラの攻撃は勢いを増す。
◇
「アキラさん……完全に悪者ね……」
呆れる花子だった。
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