第77話 ドラゴンの剣

「さあ、今日は私が10回パスしてレアアイテムを頂くわ!」

 昨日のアキラのレアアイテムを見て、張り切る花子だった。


 再びレベル15のダンジョンでレアアイテムマラソンが始まった。

 まどかは学校でいないので、今日も2人で始める。


「花子さん、今日は俺に戦闘は任せてくれよ」

 新アイテム『ドラゴンの剣』を早く使いたいアキラだった。


「はぁ……まぁお願いしますね」


「ふふふ、この剣がモンスターの血を求めていてね……」

『ドラゴンの剣』をペロッと舐めるアキラ。


「……キモ。よく分からないですけど、慣れてない武器ですから気をつけてくださいね」


 2人はレベル15のダンジョンへと入る。


 早速、アキラに襲いかかるモンスターたち。

「来たな! くらえッ!」


 自慢の新アイテム『ドラゴンの剣』を振り下ろす。しかし、


「うっ! お、重い……!」

 ノロノロと攻撃するアキラに、モンスターは噛み付く。


「痛っ!! は、花子さん、助けてぇぇえ!」


「まったく……だから言ったんですよ!」

 アキラは後ろに構える花子に助けを求める。


 花子は『火の杖』を振り、炎魔法でモンスターを撃破する。

「アチチチ……あ、ありがとう……助かったよ……」


「……アキラさん! 新しい武器を手に入れたからって舞い上がらないでください! ここはレベル15のダンジョンなんですよ。油断したら死にますよ!」


「うぅ……ごめんなさい」

 花子に睨まれ、おとなしくなるアキラだった。


「今まで使っていた剣は持って来てないんですか?」


「うん……もう使わないと思ってロビーに置いてあります……」


「まったく、しょうがないですね。今回は私の後ろに隠れてください」


「……お願いします。すみません、役立たずですみません……」


 それからは花子が先頭に立ち、モンスターを撃破する。

 使い物にならないアキラの分も花子が戦うため、時間のかかる冒険となった。


 苦戦しながらも、ボスモンスターを倒した花子。

 当然ガチャ回さずにパスをする。


 ロビーに戻ってきた2人。

「アキラさん! 早く『鋼の剣』を持ってきてください!」


「は、はい! すぐに持ってきます!」

 アキラはずっと愛用していた『鋼の剣 レア度★★☆☆☆』に持ち変える。


「でも、不思議なもんだね。レア度★★★★☆の剣より、レア度★★☆☆☆の剣の方が使いやすいなんて……」


「きっと慣れなんでしょうね。使えば使うほど馴染んできて、強くなるなんて店長も言ってましたしね」

 髭モジャ店長の言っていたことを思い出す。


「俺も落ち着いたら、まどかちゃんみたいにレベル1のダンジョンでスライムを斬ってトレーニングしようかな……」


 いくらレアアイテムといっても、手に入れただけで強くなれるほど甘くはないようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る