第65話 それぞれの戦い
それぞれ別のダンジョンに1人ずつ行くことにしたアキラと花子。
1人でドンドンダンジョンをクリアし、何度もダンジョンガチャを引く作戦だ。
「じゃあ俺はこのダンジョンにしようかな」
「私はこっちで」
アキラはレベル12、花子はレベル11と書かれたダンジョンの扉の前に立つ。
このレベルは、2人で冒険する時なら楽勝のレベルだ。
しかし、アキラは久しぶりの、そして花子にとってははじめてのソロ冒険だ。
「ふぅ……ちょっと緊張しますね……」
花子は胸に手を当てる。
「無理しないでね。危なくなったら『脱出の羽根』を使って逃げるんだよ。
そういえば……あまり考えたことなかったけど、同時に複数のダンジョンに入れるのかな?」
「たしかにそうですね……」
今まではいつも2人一緒に冒険してきた。
2つのダンジョンに同時に入る事ははじめての経験だ。
恐る恐る扉を開き中を見る2人。
「うーん、特に問題なさそう……ですかね?」
扉の中はいつも通りのダンジョンようだ。
「そうだね……ダンジョンに入ったら、一度電話をしてみるよ。多分通じないだろうけどさ」
「じゃぁ……お互い気をつけていきましょう」
「うん、クリアしたらこのロビーで落ち合おう」
それぞれダンジョンに入る2人だった。
◇
その頃、アキラの家の隣、円山家で買ったばかりの剣を振っているまどか。
「うーん、さすが良い剣ですわ……でも、重いですわね……」
もともと使っていた安い剣や通販で買った剣よりもずっしりと重いレア度★★★☆☆の新しい剣。
使いやすい初心者向けの剣ではなく、冒険者が使う本物の武器だ。
部屋で素振りをするだけで汗だくになるまとかだった。
「でも、これを使いこなせなきゃ強くはなれないのね!」
黙々と剣を振り続けるまどかだった。
ふと、窓の外に目を向ける。
「あら、あの2人はダンジョンに行ったのかしら?」
さっきまで部屋で話していたアキラと花子の姿がない。
「うーん、無理矢理ダンジョンを使わせていただくことにはなったけど、そんなにしょっちゅう行ってもいいものなのかしら……迷惑じゃないかな……?」
アキラや花子、店長といった大人達の優しさを感じ、すっかりしおらしくなってしまったまどかだった。
「よし、花子さんに行ってもいいかメールを送っておきましょ!
やっぱり素振りだけじゃ感覚が掴めないわね。レベル1のスライムでもいいから、実際のモンスターを斬って練習したいわ」
花子から返信が来るまで、また剣の素振りに戻るまどか。
彼女もアキラや花子と同じく、冒険者として強くなりたいと望んでいた。
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