第37話 アイテムショップ

 アイテムショップに来たアキラと花子。




「おー、初めてのアイテムショップだよ。なんか……思ったより奇麗なお店だね……家電量販店って感じだ」


 奇麗で広い店舗に丁寧に接客する店員。




「はい、このお店はこの辺りで一番の大手ですよ! ……なんか不満そうですね?」




「いや……不満ってわけじゃないんだけど……武器屋っていうとさ、丸太小屋みたいな小さな小屋に、髭モジャの屈強な男にいるイメージで……」




「ああ……だいたい漫画なんかだと、そんなお店ですよね……」




「そうそう、勇者の元パーティーの剣士がやってる的なね!」




「……なに子供みたいなこと言ってるんですか! いきますよ」




 残念ながら、現代日本の武器屋は丸太小屋ではなく、勇者の元パーティーメンバーもいないのだ。




 ズラッと武器が並ぶコーナーに来た2人。


「おぉっー、いいね、どの武器も強そうだ」




 今までは木の棒、鉄の剣しか使ってこなかったアキラにとって、武器屋に並ぶ武器はどれも感動する品だった。




「お、この剣は良いなぁ……お? この槍もなかなか……迷っちゃうね!」




「まったく……恥ずかしいから静かにしてくださいよ!」


 花子は子供のように はしゃぐアキラを見て呆れていた。




 そんな2人に店員が話しかける。


「お客様、なにかお探しでしょうかぁ?」


 ニヤニヤと気味の悪い笑顔の男だ




 アキラはレベル10のダンジョンで苦戦し、いい武器、防具を探しに来たと伝える。




「チッ、ザコ冒険者か……」


「え?」


 アキラは一瞬、店員から耳を疑うような言葉が聞こえた気がした。




「いえ! ……レベル10ですか。初心者を卒業して、中級者になった頃ですね。


 それでしたら……」




(気のせいか……?)




 店員はいくつか剣を並べる。


「このあたりのレア度★★★☆☆のアイテムでしたら安心でしょう」




「おーっ、かっこいいな!」




「ちなみに今まではどんな武器をお使いでしたか?」




「ずっとダンジョンガチャで出た『鉄の剣★★☆☆☆』を使ってましたね……」




「ププッ! て、鉄の剣!? あ、失礼しました!」




(なんだこの店員……感じ悪いな……)




「でもアキラさん、この剣なんかカッコいいですよ……えっ? た、たっかい!」


 花子は値札を見て驚く。


 レア度★★★☆☆の武器は想像以上の高さだった。




「ふふふ……鉄の剣を使ってたあなた達にはウチの武器は高いでしょうねぇ!」


 店員はバカにしたように笑う。




「くっ……なによ、このクソ店員……!」




「は、花子さん……落ち着いて……」


 アキラは怒る花子を必死になだめる。




「あの……この武器も良いんですけどちょっと高くて……中古の武器とか売ってませんか?」




「ププッ、中古なんてウチで扱ってるわけないでしょ!


 あの、失礼ですがお客様は当店みたいな高級店ではなく、裏にある小汚い古道具屋なんかがお似合いじゃないですか? ふふっ」




「な、なんですってぇ!!」


 大して金を持っていないと分かるや、店員の態度は一変した。


 店員の言葉にブチ切れる花子。




「アキラさん! こんな店で買うのはやめましょう! ムカついたわ!」


 花子は店を飛び出す。






「花子さん……まあ、あの店員からは買いたくないよな……」


 アイテム探しがふりだしに戻ってしまった2人。




「せっかくここまで来たし、裏にあるっていう古道具屋にいってみようか?」




「そうですね……すみません、ついカッとなってしまって……」




「いやいや、あれはしょうがないよ。 それより花子さんもあんなに怒るんだね!」




「く……あのクソ店員めッ!」




 花子の怒りは収まらなかった。

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