第33話 まどかチャンネル 3/3

 ネットショッピングで大量のダンジョンアイテムを購入したまどか。

 早く届かないかと楽しみ待っている。


 しかし、なかなかインターホンは鳴らない。

「おかしいわね……今日には届くはずなのに……」


 そうこうしているうちに夜になってしまった。

 当然、こんな夜遅くに、もう配達はこない。


「もう! ムカつくわね! 届くのは明日なの!?

 あーイライラする、お風呂入ろっ!」


 残念ながら、楽しみに待っていた配達物が届かなかった。

 ネットショッピングではたまにあることだが、一刻も早く花子に勝つために、顔出し配信をしたかったまどかは怒っていた。


 この時、まどかは知らなかった。

 大量のダンジョンアイテムの段ボールは配達ミスで隣人の家に届いていることを……


『ピンポーン』


 入浴中のまどか、家のインターホンが鳴る。

「え!? もしかして……くっ、こんな時に限ってパパもママも出かけてるなんて!」


 まどかは風呂を飛び出す。

 当然、普段なら入浴中のインターホンなど無視をする彼女だが今日は違う! ダンジョンアイテムが届いたのかもしれないのだ。


「えっと……とりあえずタオルだけ巻いて……っと」

 当然、普段の彼女はタオル一枚で配達物を受け取ることは無い! しかし今日は違う……普通のJKの持つ羞恥心は吹き飛んでいた。


 タオル一枚で配達物を受けとる、そんなA〇のようなシチュエーションだが、今の彼女は必死だった。


 玄関ドアの覗き穴から心躍らせ外を見る。


 しかし……

「ん……? 誰……?」


 外にいるのはどう見ても配達員ではない、30歳前後のどこかで見覚えのある男性だ。


「なによ……もうっ!」

 ドアを開けず風呂に戻ろうと思ったまどか、しかし、外の男が大きな段ボールを持っていることに気づく。


「あっ! あの段ボールもしかして……? でもどうして!?」


 自分の配達物をなぜ配達員でもないこの男が!?

 不思議なことはたくさんあったが、まどかはドアを少し開く。バスタオル一枚ということあり、慎重に。


「なんですか……?」

 まどかはそとの男に声をかける。


「あ、隣の九です。ウチにオタクの荷物が間違って届いてしまったみたいで、持ってきました」

 隣人の九アキラだった。


(ああ、隣の家の人か。なるほど……配達ミスね……まったく、なにやってるのよ配達員は!)


「あー、すみません。ありがとうございまーす」

 バスタオル一枚のまどかは、少しだけ開いたドアから片手だけ出し、段ボールを受け取ろうとする。


「あの……メチャクチャ重い段ボールなんで片手じゃ持てませんよ……玄関に入れますよ?」


(何言ってんの、この変態! こっちはJKがバスタオル一枚なのよ!!)

 そんなことを知るわけない親切なアキラを理不尽に怒るまどか。


「いいからッ! そこに置いといて!」

 強い口調で怒る彼女。


「じゃあ、ここ置いておくんで!」

 わざわざ荷物を届けたのに、不機嫌な対応をされるアキラはイラついている。


(ふぅ……ちゃんと届いててよかった。早く帰りなさいよ、この男!)

 JKは自分が世界の中心にいると思い込んでいるのだ……


 しかし、そんなワガママJKまどかに悲劇が起こる。

 早く段ボールを取りたいあまり、玄関から身を乗り出すまどか。


 その時、段ボールを置いたアキラは顔を上げ、まどかを見る。


「キャッ! 見ないでぇッ!」


 バスタオル一枚のまどかは恥ずかしがりタオルを抑える。

 しかし、手を滑らせたまどかのタオルは宙に舞う。


「キャッーーーッ!!!」


 あまりのショックにそれからことは覚えてない。男が鼻血を噴き出したことだけが記憶に残っている。


「うぅ……し、死にたい……」

 まどかはベッドで泣きじゃくる。高校生の彼女がハダカを見られたのは初めてのことだった。


「くそ……あの男の記憶を消したい……ハッ! そうか、殺せば……」

 気が動転し、恐ろしいことを考えるまどかであった。

 しかし、アキラは親切心でやってくれたことだ、悪いのバスタオルで外に出たまどかなのだ。


「はぁ……もう嫌だぁ……お嫁にいけないわ……

 せめてもの救いは、あの男がほとんど付き合いのない隣人だったってことね……」


 まどかは自分の部屋から憎き変態、アキラの家を見る。

 それほど立派ではないアキラの家、ふとベランダに目が行く。


「ん? なに干してるのかしら? ああ、ヘルメットね……え!?」


 まどかは気づいた。


「あのヘルメット……あのステッカーは……!?」


 見覚えのあるステッカーの貼られたヘルメット。

 それは間違いない、『アキラちゃんねる』で使われているヘルメットだった。




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