第27話 ボスゴリラ

 2人はダンジョンを進んだ。


 アキラは前に立ち、剣でモンスターと戦う。

 そして隙を見て花子が電気銃で撃つ。

 チームでの戦いは初めてだったが、最近いつも一緒だった2人は息ぴったりでモンスターを倒していった。


「ゴリラ達も私たちのコンビネーションの前では無力ですね!」


 すっかりいつも以上に饒舌じょうぜつな花子。配信は恥ずかしいと言っていたのが嘘のようだ。


 いよいよボスステージに辿り着く。

 花子にとっては初めてのボス戦だ。


「ボス戦ですね……私、うまくやれますかね……?」


 さすがにボス戦を前に緊張している様子の花子。


「大丈夫! 今までの戦い方で勝てるさ!」

 アキラは花子に親指を立てる。

 コンビでの戦いは初めてで、アキラもいつも以上に気分がハイになっていた。


「アキラさん……」


 いつも頼りないアキラだが、この時ばかりは少しキュンとした花子であった。


 そんな2人を見て、コメント欄は少々荒れていた。


 ◆コメント欄◆


【名無し おいおい、なにイチャついてんだよ?】



【名無し あーこれは付き合ってるわ】



【名無し は? 嘘だろ花子……?】



【名無し こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった】




 熱狂的な花子ファンのコメントを見て、『気をつけなければ……』と思った2人だった。


 ボスが姿を現す。

 さすがボスゴリラ、筋肉モリモリのモンスターだ。


 アキラは剣で突き刺そうとするが、今までのゴリラとは違いなかなか攻撃が当たらない。


 ボスゴリラの速いパンチをさばききれず、アキラは腹を殴られる。


「ぐはぁっ!」


 アキラは激痛に転げ回る。

 ボスゴリラは倒れるアキラを踏みつぶそうと駆け寄る。


 ◆コメント欄◆


【名無し あー逝ったわ……】



【名無し アキラ……香典です★チップ100円】



【名無し うわぁ……やば……】


 コメント欄もアキラを心配? する。


「きゃーっ! アキラさん!」


 そんな中、花子は無我夢中で電気銃を撃ちまくる。

 一発の電気の弾丸が奇跡的にボスゴリラに命中する。


 痺れて動けないボスゴリラ。

 花子はその間にアキラに近づく。


「アキラさん! 大丈夫ですか!?」

 心配そうに顔を覗き込む花子。


「うぅ……強烈な一撃だったよ……」

 苦しそうなアキラ。黒のヘルメットで防御力が上がってなければ危なかっただろう。


「よかった! はやくポーション飲んでください!」


「う……ちょ、ちょっと! そんな一気飲み……うぅっ!」


 花子はもだえるアキラにポーションをがぶ飲みさせる。


「ゴクリ……ふぅ……生き返ったぜ!」


 ◆コメント欄◆


【名無し アキラ! 生きてたか!】



【名無し やっぱポーションすげぇな!】


 今回ばかりは本当にポーションの良い宣伝になったはずだ。



★★★★★★★★★

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