第17話 ポーション

「さあ、レベル4のダンジョンです。

 今までは一番高レベルのダンジョンですが……果たしてどれほど強力なモンスターがいるのでしょうか?」


『いいですね。スポンサーが付いたからって今までと変わらないスタイルでいきましょう』



 前方からモンスターの気配をは感じるアキラ。


「む!? モンスターか?」


 木の棒を構えるアキラにモンスターが襲い掛かる。


「ぐわっ! これは……ネズミか!?」


 ダンジョンレベル4のモンスター、それはネズミ型のモンスターだ。


 アキラの足にまとわりつき、噛みつくネズミたち。

 幸い、黒のヘルメットの防御力アップのおかげで、このレベルの攻撃ではダメージはほぼない……しかし、


「ぐわぁぁあ!! か、嚙まれたぁあ!」


 オーバーに悶え苦しみ、地面を転がりまわるアキラ。


 ◆コメント欄◆


【名無し なんだ? レベル4そんなに強いのか?】



【名無し どうした??】



【名無し おいおい? 大丈夫か?】



【名無し 【悲報】アキラ死亡】


 ざわつくコメント欄。花子も動揺する。


『ア、アキラさん!? そんなダメージが? ……ハッ!? ま、まさか!!?』


「こ、このままでは大変だ! おーい! 早く回復アイテムを持って来てくれぇぇぇえ!!」


『……まったく、恐ろしい配信者になったもんですね……!』


 花子は倒れこむアキラにポーションを渡し、アキラの表情をバッチリカメラにおさめる。

(信じられない……本当に今にも死にそうな表情だわ……)


 もちろん、アキラは全くの無傷である。

 アキラの演技力の成長っぷりに感動し、目頭を押さえる花子であった。


「うぅ……こ、これさえあれば……ゴクッゴクッ」

 ポーションを一気飲みするアキラ。


「むむ!? 力が湧いて来たぞ!!? うおぉぉぉおお! ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!」


 アキラはまとわりつくネズミを木の棒で一蹴!



 ◆コメント欄◆


【名無し うおぉおおおお!! ポーションスゲーッ!!】



【名無し マジかよ……このポーション買うわ】



【名無し 1000000個ポチッた】




 アキラの復活に大盛り上がりのコメント欄。


『す、すごいですよアキラさん! これはスポンサー大喜びですよ!!』


 復活? を遂げたアキラはそのままボスステージに辿り着いた。

 ポーションをガブ飲みしながら、ポーションの空き瓶でボスネズミをボコボコにするという荒業を披露し、これにもコメント欄は大盛り上がり。

 伝説の配信となったのだ。


「はぁはぁ……ふふ、自分を抑えられないほどの力が吹き出してしまいましたね。さて、本日のガチャといきましょうか」


『ガチャ』


『鉄の剣 レア度★★☆☆☆ 攻撃力アップ』


「お! これはなかなかのアイテム! 次回からはこの剣を使いますので明日もご視聴お願いします!」


 無事に初めての企業案件の配信を終えた『アキラちゃんねる』。


 翌日、全国の店頭で『ダンジョン製薬』のポーションが売り切れるという社会現状が起こることはまだ二人は知らない。






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