シロツメクサの春
ヨコスカ
第1話 春と学校閉鎖
今日は4/2
春特有の、いい青空。ある人は、土の香りがする風に吹かれて文庫本を読む。
また、ある人は塀の上のまどろむネコに癒される。
未だ夢の中にいる人も。
好奇心ゆえに過ちを犯すのは青春に特有のものである。
また、
未熟で、脆弱。
誰かの言葉が浮かんでは消えた。
その過ちのお陰で、
一人の放送委員によって学校は独壇場になった。
理由は、今のとこ不明。
小栗(おぐり)[この学校は私が占領した!] よくあるキーンという音。
聞けば、演劇部のナレーターを勤めているとのこと。
だからといって、上手いわけではない。
空気が伝わるくらい。
色々、気分的に。
[なお、この放送は東部第八高等学校の二年生三組 小栗がお送りいたします]
きっちり名乗りをあげる所は放送委員。
朝、二年三組の教室内。人だけがいなくなっていた。
二時限の英語の授業。やりかけの英文を訳す宿題。ノートの上にシャーペンが転がっていた
朝ごはんらしきイチゴジャムのコッペパンは袋がちょっと開いてる。
読みかけの文庫本の隣に栞が一つ。
静物を残して生物が消える
シンと静まり返って、それでも桜は散ってゆく。
彼らは、
自らを確実なものにするため、群れを愛し嫌う。
上下と多数を盲信する。
純粋
異空間のなかに放送委員と自分。あとは誰か。
校内探索
本部棟は一階から三階(一年から三年。それぞれ三組。時に四組。)
文化塔も同じく。職員室は二階。図書室は三階
放送室は本部塔と文化塔を繋ぐ三階連絡通路の突き当たり
通路は外にあるから雨の日は通れない。
中庭がよくみえる。さっき見えていた風景が、
ここからだと全体を見渡せるようになる。
そよ風に桜の木は静かに佇む。
通路の手すりにてをかけて、少しだけぼーとしていると
目のはしで
二階に人が通ったように見えて
集中する。
人は長いおさげがみをなびかせ、足早に去っていった
あれが小栗なのか?
春は人を包み込む。夏は人を解放する。秋は人を物悲しくさせ。
冬は人を突き放す。
ゆくとき来るとき戻ることを知らず。
二階、文化塔。物置き部室等がある。
わざわざ三階から降りてきたけど人は見当たらない。
ここは旧部室棟とも言われている自宅に
部屋の中は昭和のアパートのような印象を受ける。室内は土足厳禁。
部活には入っていない自分にとって、一年間の体験入部(学校の規則)以来、
本当にに縁の無いところだ。
無事に自宅に帰還する部(帰宅部。命に関わる不幸体質への対策を練る&実行)
に入部していた。
がさごそと物音が微かに響く。耳を集中させつつあるきだす
物置部屋からそうだ 薄暗闇の中動く影。
ごそごそ
ガダガタ
ガタン、ごっ!!
がしゃん!がらら、、、
音が途切れた。
何か、大変そうな感じがする。
人は認知され存在し、人を求めてさ迷う。
ドアノブを必死にガチャガチャしている。内側に引いてるようだけど
多分押すんじゃないかな。
言おうか迷っていたら
中の人が気づいたらしく
ピタッっと止めて
ドアをようやく押し開いた。
近くにいたら鼻をぶつけてた。
それくらい勢いよく
げーーーッホけほつげほっつ
大量のホコリと一緒に出てきた
片腕をマスクがわりにして咳き込んでいた 長いおさげがみの生徒は
こちらを認識するなり 一言
[あんた、もしかして小栗?]
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます